「年金で海外生活」の現実 | Lin's Times

「年金で海外生活」の現実

縦並び社会・格差の現場から:年金移民

ベランダからマラッカ海峡の青い海が見える。マレーシア半島西岸のペナン島。39階建てマンションで末永千明さん(63)が独り暮らしを始めて半年になる。
 「できればずっとこっちにいたい。ゴルフも始めたのよ」。千葉県君津市で事務員をしていた58歳の時にリストラされた。夫とは早くに死別。娘は結婚した。3年半ホームヘルパーをしたが、介護中に手首を骨折し、元のようには動かない。年金は月13万円。娘の世話にはなりたくない。
 「生活に余裕はないし、日本に一人いるのも……」。不安はあったが、インターネットで移住先を探した。
 3LDKの家賃は4万8000円。外食中心の食費は約2万円で済む。ライスとチキンに偏るので生野菜だけは買って煮る。月10万円ちょっとで暮らせるが、日本の住民税や保険料を払えばぎりぎりの生活だ。
 ペナンは5年の長期滞在ビザで暮らす人がこの数年で急増し、日本人だけで400人ともいわれる。末永さんのマンションも3年前の2世帯から今は30世帯近くになった。事業に失敗して年金生活の計画が狂った老夫婦、会社をリストラされ、年金をもらえる60歳まで安く暮らすために来た世帯……。年金不安が海外移住に拍車をかけている。


 タイも日本からの「年金移民」が増えている。日本での長期滞在ビザ(1年)発給が02年は69件だったが、04年は過去最高の203件に達した。長期ビザを取れない低収入の人も増えている。
 アパートで独り暮らしをしている元会社員の男性(71)は年金が10万円を切る。日本の市役所で老人ホームを紹介された。2人部屋で夜は外出禁止。迷ったが、断った。今の家賃は約2万1000円。血圧計の電池代まで毎日家計簿につけ、残った分は貯金する。
 時々食べたくなる塩こんぶや乾燥じゃこは年に一度帰国した時、スーツケースに詰め込む。「暇でね」とつぶやいて言い直した。「いや、こっちの方がずっといい暮らしができる。NHKの相撲も見られる」
 記者(40)はチェンマイの郊外で、月約1万円でひっそり暮らす男性(58)にも出会った。よれよれの紙を財布から取り出して見せてくれた。社会保険庁のホームページで調べた年金額だ。「60歳 103万円」。あと2年、なんとか生きなければならない。この金額ならタイで暮らしていゆける。


(from 毎日新聞)
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夢のような響きの海外での引退生活の現状が見えて来る記事。
日本のような超高齢化社会になると、長生きするリスクがとても高い。
しかも現状の年金のシステムが破綻しかかっているっていうのだから将来は暗い。
早急にシステムの組み替えを願いたい。
僕らが、日本に失望しないためにも。