<事業仕分け>を見学してみた | 日経新聞の攻め方教えます

<事業仕分け>を見学してみた

学生時代にお世話になった、田英夫・元参院議員が亡くなりました。
思えば私が関わった、初めての政治家でした。
マスコミの大先輩(共同通信記者、TBSキャスターだった)でもありました。
菅直人副総理や江田五月参院議長の元ボスでもあります。
謹んで、ご冥福をお祈りします。。。




誰でもすぐ見れる予算の検討会


話題沸騰中の行政刷新会議による「事業仕分け」をみてきました。
オフィスのある神楽坂から近いので、ランチのあと、ぶらぶら出かけました。
予約はいりません。


東京都心ながら不便な場所(市ヶ谷駅から歩20分)にある会場は、体育館を
パーテーションで3区間に間仕切りしただけで、まるで殺風景な高校の文化祭の
研究発表会場、といった趣。


その中を、ダークスーツの中年男性ばかりが書類を抱えて行き交います。
同行した20代女性アシスタントがやけに目立ち、皆が振り返っていました(笑)


入り口でボディチェック、荷物検査があった以外は、簡単に入場でき、議論
を聞き取りやすいようヘッドホンを貸してくれました。
そういえば、あるはずの免許証などのチェックもなかったな?
配られたA4版100ページの資料集がずっしり重い・・・


報道陣がやけに多く、1社数人ずつで、ずっとウオッチしているようです。
同様に一般見学者の席もいっぱいで、毎日500人が詰め掛けているとか。今回
はあいまいな立場で出かけたので、しばらく待って、やっと座れました。




かみ合わない議論も


はじめ、厚生労働省の独立行政法人についての検討会をみました。
聞きたいテーマを選んで、勝手にそのブースにいけば、傍聴できます。


企業年金の普及促進費(23億円)、年金の広報経費(2億円)が議題に載って
いました。


厚労省担当者が目的や内容を熱心に説明するのですが、「必殺仕分け人」た
ちはあまり聞いていないようで、「補助金を出しているのに、それらの団体
に厚労省から天下りがあり、役員数が多すぎる」などと指摘。なんだか議論が
かみ合っていない気がしました。


「結論ありきではないか」との批判がありますが、このあたりチェックポ
イントを最初から決めてかかっている面もあるようです。
参謀である財務省のアドバイスか?


結論は、前者が「3分の1の予算縮減」、後者が「廃止」と厳しい内容。
すぐに出入口近くの一覧表に、黒マジックで結論が手書きされていきます。
1時間であっという間に、一巻の終わり?




役人のズレ、丁々発止の議論


次に、法務省の裁判員制度の啓発促進(1億円)について。


「ここ数年、ずっと全国各地でポスター掲示や説明会をしてきて、認知度が
高まった」と役人が実績を強調すると、
仕分け人が「じゃあ、もう十分でしょう」とあっさり指摘。


「いやいや、まだ参加に消極的な人が多いので、続ける必要があります」


「でも同じことをしていても、これ以上効果がないのでは?裁判員候補者への啓発な
どは考えているのですか?」


「次の手はとくに考えていません・・・」


このあたりの丁々発止のやりとりは見ごたえがありました。PRに詳しい人間と
しては、つい、手を挙げて意見をいいたくなってしまった(笑)


結論は「予算計上見送り」。少なくとも来年はやらなくていい、ということです。
いったん始めると何も考えずに続けようとする役人の習性が垣間見えました。


それにしても、全国5千のビデオレンタル店に裁判員制度の紹介DVDを置いて
いるとは知らなかった。私もレンタル店はちょくちょく行くのですが、はたして
エンタメを楽しむために来た客が、裁判員のDVDを見るでしょうか?
このあたり、役人の感覚が世間とずれているようです。




オープンな議論が改善を生む


今回はちょっと覗いただけですが、なかなか楽しめました。
自分の払っている税金の使い道について、権力者同士がしのぎを削るショーと
みることもできます。テレビ局が喜ぶわけだ。


同行女性は「テレビでは派手にやりあう場面ばかりでしたが、実際は落ち着いた
議論が多いのですね」と感想を話しました。


誰かがどこかで勝手に決めていた国家予算について、こうしてオープンに目の
前で議論するのを見ることができるのは、とても有意義です。これだけでも政権
交代の意味はあったかも?


インターネットの生中継もあるので、興味ある方はご覧になってはいかがでし
ょうか。常に1-2万件のアクセスがあるそうです。


(ライブ中継サイト) 次回は24-27日の4日間です
http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/live.html