杉田・日経新聞会長その1:新聞は生き残れるか?
以前聞いた、日経新聞社の会長のお話を紹介します。
1回目は「新聞は生き残れるか?」。
日経の生き残りを模索
トップになって取り組んだテーマは、
「日経をどう生き残らせるか」ということです。
具体的には3つあります。
・ネットの登場でメディアが多角化し、既存メディアは地盤沈下
・経済のグローバル化で企業の売上が海外にシフト、広告費が減る
・人口減や若者の活字離れが進む
新聞の発行部数は、97年がピークで、現在は5300万部。毎年10-20万部へっており、これは県紙1つが毎年消滅しているのに等しい。
新聞広告日は、07年で9500億円で、毎年8-20%ずつへっています。
ネットの広告費は単価が安く、費用対効果がわかり、ターゲティングがしやすい特徴があり、すでに雑誌を広告を抜き、数年で新聞広告費も上まわりそうです。
2040年新聞消滅?
メディア王のマードック氏は、
「2040年に新聞はなくなる」
と予言しました。
トレンドはそのとおりですが、私はそこまで悲観的でありません。
海外との違いは、2つあります。
A・宅配率が高い
B・新聞の情報への信頼が高い
Aについては、日本は96%が宅配です。ただ、その分コスト負担も大きく、1つの新聞しか扱わない専売店制度が崩れ、異なる複数の新聞を1つの店で配る方向に行きそうです。
朝日、日経、読売の3社共同で、「ANY」という、ネット上で3社の記事を一度に読み比べられる事業を始めました。
これを契機に、朝日と読売の販売乗り入れに進みそうです。日経は専売が7000店と少なく、あとはもともと乗り入れです。
ただ、これらの動きはかなりのんびりしたものであり、もっと新聞に危機感が募るまで、スローペースが続きそうです。
Bについては、ある調査によると、メディアごとにみた信頼度は、
新聞84%、テレビ64%、企業のHP63%、検索サイト52%、BBS6%となっています。
すべての新聞は生き残れない
もっとも、影響を受けるメディアは?という調査によると、
新聞26%、テレビ71%、ネット60%となっています。
こうした状況から、私が導き出したのは、
「新聞というメディアは残るものの、すべての新聞社は残れない」
つまり、新聞は再編・統合が避けられず、1県につき1つの新聞は維持できないだろうということです。すでに九州では、新聞の販売・広告ともに、2県に1紙で十分な規模に縮小しています。
次回は日経の対策・将来像について。
(つづく)
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