パフューム ある人殺しの物語 | 【邦画/洋画】世にも奇妙な深海部屋【ホラー多め】

【邦画/洋画】世にも奇妙な深海部屋【ホラー多め】

期間限定(予定)の映画の感想ブログです。毎月少しずつ、消化予定。ジャンルはホラー、サスペンスが多めです。

2006年、トム・ティクヴァ監督、ドイツ・フランス・スペイン合作です。
18世紀のフランス・パリにある、悪臭漂う魚市場で生まれた一人の少年。
彼は天才的なまでの嗅覚の持ち主だった。生後間もなく母に捨てられ、孤児院に
引き取られた彼は成長し、なめし皮職人として日々を過ごしていた。
ある日、親方につれられていった街で、魅力的な匂いをもつ少女に遭遇し…。

ナレーションが随時入るので、時代背景などは分かりやすいと思います。
主人公のジャン=バティスト・グルヌイユに共感するのは非常に難しいですが
何かに取り憑かれたように魅入られて、生きる一人の人間の生き様という
意味では、なかなか興味深い作品ではあります。タイトル通り【香水】及び
【香り】が重要なキーワードです。無学だったジャンはやがて、かつては
売れっ子・今は落ち目となってしまった調香師のバルディーニに師事します。
ジャンは一度嗅いだだけで、全ての香水の調合を当てる事ができるほどの
優れた嗅覚の持ち主でした。しかし、街で出会った少女の香りが忘れられずに
「香りの保管方法を教えて欲しい」と熱心にバルディーニの元で学びます。
匂いはやがて薄れ、無くなってしまうことに失望するジャンの表情は圧巻です。
さらなる知識と技術を得るため、ジャンは香水の街・グラースへと旅に出ます。
旅先で出会った少女は、かつて街で出会った少女と同じ匂いを発していました。
さながら常夜灯にひかれる蛾のごとく、浮ついた足取りでジャンは少女のあとを
追いかけました。彼女は、とある商家の娘でした。何としてでも、その香りを
自分のものにしたいと考えたジャンは、恐ろしい手段で人の香り(体臭)を集め
始めます。少女を次々と殺害し、その体から動物の脂を使って匂いを移す、という
方法を実践したのです。グラースで得た知識と技術を持ってして禁断の香りの
精製に挑むジャン。やがて、商家の娘をもその手にかけてしまうのでした。
後半では怒濤の展開(色々な意味で現実離れしてます)が待っていますので
どんな超展開でもOK(笑って許せる)という、心の広い方向けの内容です。
結局ジャンがやり遂げたかったのは、自分のアイデンティティーの確立という
ただそれだけのことだったんじゃないかな、と思いました。
無情なラストシーンで語られるその最期は、あまりにも現実的です。

その香りは少年の全てを狂わせた度…★10
思わず開いた口が塞がらない展開だよ度…★7