「引きこもり」と聞くと、正常な人は「働かずに引きこもれてうらやましい」「引きこもりは楽でいいよね」と言うが、全く楽ではない。
勘違いしないでほしいのは、ここでいう引きこもりは、休みの日に外出しなかったり、出ようと思えば外に出られる人を指しているわけじゃない。何かしらの精神疾患を患っていたり、過去のトラウマなどが尾を引いていて、出たくても出られない人を指している。
僕は引きこもり歴6年だけれど、家にいて一度も心が休まったことはない。
将来への不安、現状からくる焦り、家族に対しての罪悪感。毎日毎日同じことの繰り返しで、心が擦り減ってくる。「じゃあ外に出て、働けばいいじゃないか」と、言われたことがある。言い返すことなんかできない、だって正論だから。僕もそう思うし、今すぐにでもそうしたい。
過去に何度か、散歩をしてみようと決意したことがある。朝早く起きて、服を着替えて、靴を履いてドアの前に立つ。いずれも、ここまでは来ることが出来た。でも、ドアノブに手をかけると、動機と体中の震えが止まらなくなって、変な汗が出てきてしまう。
そんな僕でも、一度だけ、たった1度だけ出られたことがある。それは、3年ほど前に友達から無理やり引きずり出されたときだ。でも、人の視線が怖くなり、やはり震えと動機が止まらなくなって、すぐに足を進めることは出来なくなった。
対人恐怖症や社会不安障害、過去のトラウマなどで、出たくても出られない人が大勢いることを知ってほしい。