[時空を超えた共通点]について

先日、「THE POET SPEAKS ギンズバーグへのオマージュ」@隅田トリフォニーホールへ行ってきました。

ギンズバーグの詩をフィリップ・グラスがピアノ演奏し、パティ・スミスが朗読。
詩の翻訳は村上春樹、柴田元幸。


以前、サンフランシスコのノースビーチを、ビートニクの足跡をたどって歩いたことがある。

高台で風通しが良い素晴らしい場で、ビート詩人たちが集ったカフェや本屋、公園などを巡った。

現代でもそのエネルギーは残っていて、そこに住むマイノリティーたちの開放感に驚いた覚えがある。

私のようなエトランジェにも心を開いて、本当に素敵な言葉をたくさんかけてくれた。

歴史的な、でも全然きどってないカフェでテイクアウトしたエスプレッソが、感動的に美味しかった。

そんなことを思い出しながら、観たライブは素晴らしかった。

この世にはいない詩人と、まだ生きているアーチストたち。


すべてが時空を超えて同時に存在し、古びることがない。

パティ・スミスは全く歳を感じさせず、すべての動きが、仕草が、パフォーマンスが完璧に素晴らしい。何故あんなにカッコいいのか、何故あんなに精神力があるのか、何故あんなに正直に生きられるのか。

フィリップ・グラスは淡々としているように見えながら実はとても暖かい。
人生のすべてを受け入れている。

ギンズバーグ、遠い世界の異星人のような気がしていたが、実は私と先生が一緒だった、と言う驚き。


もちろん私はそのチベット人高僧とはお会いしたことがない。
けれども、私の血や肉や心の大半は、その高僧の教えでできている。

ご存命の高僧の先生たちから、折にふれその高僧のお話は聴いてきた。
不思議なことに、その僧侶たちを通して、実際にお会いしている感覚に何度もおちいった。

そして現在のトリフォニーホールで、パティ・スミスがその高僧のお葬式の様子を(ギンズバーグが実際に参列した葬式の模様を書いた詩を)ポエトリー・リーディングしている。

出会うことのなかった師と、再び出会う。
なんだかわからないけれど涙が溢れた。

死んでる人生きている人、出会った人出会うことのなかった人、それらが混然一体となり、矛盾なく今をみずみずしく生きている。

しかもカッコよくブザマでセンス良く。
すごいことなのにさり気なく、でもハガネの強さで唾を吐きながら前を向く。