中学3年生 春


結局大人は同じだ。

強い方を味方して、弱い者は冷たくあしらわれる。

人間の汚さを覚えた

大人を憎んだ

家族を憎んだ

信じられるものなんて

存在しなかった。


𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄


中2の出来事を持ち越すように

また新しい1年が始まる。

私にはすでに

同学年に味方はいなかった。

学年全員に嫌われていたと言っても過言ではない。


3年生 全7クラス。

1クラス約35人の生徒。

35×7=245人 中には不登校の子も私以外にも居たので

ざっと10人引いて235人。


235人 対 私

学校なんて居場所じゃなかった。


新しい1年が始まるからと

勇気をだして学校に行く。


そこに待ってたのは

絶望だった。


𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄


「............私の席......ない......」


新年度初日の事だった。

勇気をだして学校に行った仕打ち

それは

クラスメイトに机と椅子をベランダに捨てられていた

という出来事だった。


その場に立ち尽くして頭が真っ白になっていた


「...............もう...嫌だ...」


立ち尽くしている間にチャイムが鳴り響く。

担任が教室に入ってきて私にこう告げた。


「早く席につけ」

その瞬間クラスメイトの視線は私に向く。


「席......ありません...」


1人のクラスメイトが私の声とかぶせるように言った。


「お前の席、ここにあるよ〜〜!ベランダ!どうせ来ないと思ってたから、ここに置いてもいいかなと思って!」


教室内は爆笑で包まれる


「早く席を戻して座りなさい」

担任はそう急かす。


苦しかった

悔しかった


私は無言で教室を立ち去った。

そしてそのまま

学校の渡り廊下へと向かった。


渡り廊下は

各学年の教室が見渡せる位置にある。

職員室からも見える場所だ。


渡り廊下の壁をよじ登り

身を少し外に出してみる。

高かった。


飛び降りよう...みんなが死ねって望んでるなら

みんなから見えるこの位置で...死ねばいい...


クラスでホームルームを受けてる生徒たちが見える。悔しさで溢れた。

こんな学生生活を送るはずじゃなかった。


「私が悪いんだ...いじめられる方にも非があるんだもんね...いじめる人だけが悪いんじゃないよね...私がいけないんだ...私がこんな容姿じゃなければ、こんな弱い性格じゃなければ......みんなと変わってなければ...皆みたいな学生生活......送ることが出来たの?......」


冷たい風と温かい太陽が心地よかった

自然の優しさに涙は止まらなかった。


結構な時間が過ぎていたのだろう。


急に誰かに体を捕まれ

渡り廊下の床に降ろされる。


「何をしているんだい?話を聞くよ。生徒指導室、いこう。」


(離して.....離してよ......守ってくれないくせに...なかったことにするくせに...こんな時ばかり、正義感丸出しにしないでよ......何も出来ないくせに...人の命守れないくせに......無責任なこと言わないで......)


心の中でそう呟く。


私はなんの抵抗も出来ずに

生徒指導室に向かった。


そして初めて人に直接訴えた


「死にたいです。」


の一言。

そこから一気に先生たちの私への態度は変わっていった。


良くも、悪くも。