しまった!!!
私はこの日、この旅で初めて
バスを乗り過ごすほどの大寝坊をした。
慣れないことはするもんじゃないですね。
乗り物は苦手で、12時間の長距離移動をして
夜、暗くなる頃に、S級危険都市に到着してしまい、
少し寝て次の日の早朝にまた長距離移動なんて、
そもそも私には無謀なことだったんだと、少し反省。
バスは朝5時発。
現在、4時55分。
ここはバスターミナル併設のホテル。
私は財布だけを持って部屋を飛び出した。
ダッシュでバスのカウンターへ。所要時間1分。
受付にいたのは、昨日の夜、
バスチケットを買った時と同じスタッフさん。
このチケットを私に売ってくれたのは彼で
寝起きで飛び出してきた私の顔を見て
彼は瞬時に全ての状況を把握してくれた。
彼は私を見るなり、笑った。
チー旅「ごめーん。(泣)」(日本語)
ああ…情けない……。
チー旅「バスの変更は出来ますか?」
スタッフさん「はい。(笑)」
やさしく笑って変更手続きを進めてくれるスタッフさん。
同じ行先のバスが1日に2本出てるとのこと。
午前5時と午前11時。
今日の11時ならまだ間に合う。
チー旅「じゃあ…11時で……。」
良かった、とりあえず今日中に移動できる。
がしかし、スタッフさんがとんでもないことを口にする。
「28ドルです。」
まさかでしょ。
変更するのに3,000円もかかるの。
うそでしょ。
チーさんひたすら困ってみた。
全力で困ってみた。
それを見たスタッフさん。
「明日の同じ時間、午前5時だったら5ドルですよ。」
今泊まっているホテルが14ドル。
ホテル代を考慮してももう一泊して明日のバスに乗った方が安い。
チー旅「マニャーナで。」(明日で)
即決でした。
凶悪都市に延泊決定です。
そこで私はある人に連絡します。
「私は寝坊してバスに乗れませんでした。」
ダサい…。けど事実や……。
「本当ですか!それでは会いましょう!」
そう返事をくれたのは、
昨日のルイスさん。
私は昨日の夜、ルイスさんとフェイスブックを交換していました。
あまり、自分から積極的に交換しないのですが、
彼の人柄にあまりに惹かれ、交換していただいたのです。
ルイスさんはお昼前にホテルまで迎えに来てくれました。
お車で。
彼は、23歳の時にジャイカの研修で初めて日本へ行きました。
その時の滞在は1ヶ月間だけでした。
そして今から4年前、再びジャイカの研修で日本を訪れました。
驚いたことに、その時も6ヶ月しかいなかったそうです。
なのに、彼は本当に日本語がペラペラです。
そしてその時、なんと名古屋大学に通っていたそうです。
そして、さらに、現在東京大学に入学願書提出中です。
そして、現在、ここニカラグアで会社経営をしています。
はいお気付きですね、彼はエリートです。
今日はそんな彼が、凶悪都市マナグアを案内してくれます。
まず、彼が連れてきてくれたのは
ローカル食堂。スペイン語でコミドール。
そういえば、中米は危ない危ないと言われていて
あまり下手に外を出歩くことが出来ず、
まだ一度も中米のローカルフードを食べていませんでした。
「コスタリカで、ガヨピントは食べた?」
な、何ですかそれは。
ここ、ニカラグアにもある、中米の料理だそうです。
「ルイスさん、お金はいくらですか?」
「えーっと。ゼロです。はは。」
笑顔でそう答える紳士なルイスさん。
ご厚意、ありがとうございます。
こちらがガヨピント。
お赤飯です。
ガヨピントに、サラダと揚げバナナとフライドチキン。
どれもとってもおいしいです。
メインは選べるようで、牛、豚、魚などもあります。
ルイスさんはフライドフィッシュを選んでいました。
「魚も食べたいですか?」と一口くれたのですが
これが、めちゃくちゃおいしかったです。
もうそれは、チキンと交換してほしかったほど。
中南米ではよく揚げバナナを見かけます。
この時初めて知ったのですが、
調理用バナナの事を「プラタノ」といって
そのまま食べるバナナのことは「バナノ」というそうです。
調理用バナナは、そのまま食べられるんですか。って聞いたら
この世の終わりみたいな顔してたので、
多分そのままでは食べられません。
そしてこちら。
何だと思いますか。
これはピタイヤ。ドラゴンフルーツのことです。
ただでさえ、ドラゴンフルーツが大好きな私はこれが大ヒットでした。
とても明るく陽気な食堂のみなさん。
へえーとバナナを眺めたり、真っ赤なジュースに驚いたりして
私がいちいちリアクションをとっているのを
笑いながらキッチンから眺めていました。
「食事の後、街を案内していいですか?」
ぜ、ぜひお願いします(泣)
そう言ってルイスさんが連れてきてくれたのは
マナグアの街が一望できる丘の上。
首都とは思えないほど緑が豊かですね。
「森の中に建物があるみたい」とルイスさんも笑っていました。
ニカラグアは80年前と、50年前に大きな地震があったそうです。
これはその時の地震で壊れてしまった教会です。
今も建ってはいますが、中は空っぽでした。
その時で、時間が止まっているのかな。
ルイスさんは、こんな所にも連れて行ってくれました。
マナグアのスラム街。
おまわりさんもいます。
ニカラグアも貧富の差が激しいそうです。
治安が悪いというのはこういったことが原因にありますね。
「ここを歩くことは、本当に危ないんだ。」
ここに住んでいる人がいる。
それを安全な車の中から眺める。
なんか、変な気持ち。
「アイスクリームを食べたいですか?」
ルイスさん、中米のいろんな物を私に見せたいのですね。
いろんなとこに連れて行ってくれて、提案してくれる。
中米のアイスクリーム、どんなのだろう。
あ、道端で売ってるこういうやつかな。
マクドナルド!
ルイスさん、ごちそうさまです。
外は暑いのでソフトクリームはめちゃめちゃおいしいです。
ルイスさんは名古屋は本当に良いところと言います。
名古屋に帰りたい、とまで言っていました。
ルイスさんはこの後仕事があるので私をホテルに送り、
一度別れて、またホテルまで迎えに来てくださいました。
「日本人のあなたと知り合えたことが本当に嬉しい」
彼のほころんだ表情から私は終始、そう感じていました。
連れて行ってくれたカフェで
ルイスさんがこんなものを見せてくれました。
「この雑誌は私の妹が書いています。
そしてこれは私です。」
えええ!?!?!?!?
ル、ルイスさんなのこれ!?!?!?
「ここを見てください。」
名古屋ユニバーシティって書いてある!
ルイスさん、とってもすごい方のようです。
ここで、どれぐらい話したでしょうか。
ほとんどの時間、私は食らいつくように
いくつものスペイン語を教えてもらいました。
毎日過ごしていて、分かるようになった言葉たちがあって
言葉が分かるようになると、分からないことが分かる。
その日頃の疑問をたくさん教えてもらいました。
「ロシエントってどういう意味ですか?たまに言われます。」
「それは、ごめんねーみたいな意味です。」
「あ、ベンガってなんですか?よく聞きます。」
「一緒に!とか、来て!という意味です。」
「じゃあ今からスペイン語を言いますね。●☆=※△…」
「私は朝5時にここに来なければならない…?」
「エクサレント!」
「『○○から○○まで』ってなんて言うんですか?」
「デスデ○○アスタ○○と言います。日本語みたいでしょ?」
「あなたに出会えて本当に嬉しい。」と
一緒にいる間に何度も私に言ったルイスさん。
私も同じ気持ちだった。
彼からしたら、まさかあんな所であんなタイミングで
日本人に会うなんて思ってもみなかっただろうし、
次の日、私はバスを乗り過ごして今、彼とここにいる。
寝坊して良かったなんて思う事、あるんですね。
もしバスに乗れていたら、ニカラグアを見ることも
ルイスさんの話を聞くことも出来なかったのか。
遠い国で、こんなにもやさしいオトモダチが出来て
私もすごく嬉しい気持ちです。ありがとう。
ルイスさんが日本に来たら、
名古屋の猿カフェに行こうねと約束した。
「その時は、スペイン語で話しましょう。」
と笑って私にそう言った。
ルイスさん、日本で待っています。
私のこと、どうか忘れないでください。
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