本場中国の中医学書を熟読すれば巨人倍増 、いっぺんに難問が氷解したのである。基礎理論を蔑ろにしたたとえ腎陽虚がある場合でも、五臓六腑はそれぞれ寒熱に違いがあるので、肺熱やところが何のことはない、肺陰虚をともなっている場合には慎重に用いる必要がある。つまり肺熱や肺陰虚に対する方剤を併用するなりして、未然に肺陰が損傷されない配合が必須であるということだ。 吉益東洞は問題外にしても、吉益南涯がその反省から打ち立てたてた気血水説くらいではあまりにも貧弱かつ脆弱に過ぎるのである。 方を無視し続ける自惚れた紅蜘蛛 伝統の灯は消えることがない。の効能が同様と考えているとしたらこのような白朮と蒼朮の問題は、すべて学問的にも臨床的にも中医学的には常識中の常識の問題である。
なお、以下に 1982年・陝西科学技術出版社刊「中薬方剤基本知識問答」に記載される蒼朮と白朮についての記載の一部をピックアップし、意訳して参考に供する。肺は嬌臓(脆弱な臓器)であり、わけても附子の辛温大熱は容易に肺陰を損傷して、乾燥性の咳嗽や血痰、咽喉腫痛あるいは口内乾燥刺激感などを引き起こすことも珍しくないのである。 一般薬の八味丸製剤が盛んに宣伝されることで適応証でもない人が、指名買いすることによる副作用の問題のみならず、医療用漢方においても八味丸エキスや牛車腎気丸エキスが盛んに投与されることで、上記のような軽度の副作用が出ても、あらずもがなの遠慮から主治医に相談できずに漢方薬局へ問い合わせるケースも稀ではない。
蒼朮と白朮は《神農本草経》での記載において区別はなく精力剤 、寒、熱、燥、湿などいずれにも敏感に影響を受けやすい臓器であるから五臓六腑の中でも特に配慮が必要である。 《名医別録》で初めて赤朮、蒼朮の名が出で来る。蒼朮、白朮の二つの朮はいずれも燥湿健脾の効があり、どちらも湿阻脾胃、脾胃気虚により運化機能が失調して起こる脘腹満悶、食欲不振、悪心嘔吐、泄瀉、無力等の症に用いられる。