最近、キノコや酵母由来のβグルカンが がん に効く、免疫力を高めるなどの宣伝を週刊紙、インターネット上で多数見かけますが、βグルカンは『効く』『効かない』両者の意見があり、論争に発展しているので、分かりにくいですね。
一体、βグルカンはどのような物質なのでしょうか?体の中の免疫系での働きは証明されているのでしょうか?
今回は、家庭の医学の立場からこのグルカンについて考えてみました。
グルカンとは?
グルカンとは、そもそもどんな物質かご存知でしょうか?
グルカンとは、ブドウ糖が多数結合した物質の総称と定義されており、化学構造からはαグルカンとβグルカンに分ける事ができます。巨人倍増
αグルカン グリコーゲン グリコーゲンは、筋肉や心筋が血液中のブドウ糖から筋肉内に蓄えたものです。筋肉内で運動時に分解してブドウ糖として使います。食物の筋肉中のグリコーゲンは肉類や魚貝類の甘味に関係しています。
殿粉 澱粉は植物が光合成で作った炭水化物を蓄えたものです。殿粉を唾液中の酵素で分解するとブドウ糖の甘味として感じることができます。植物、動物が蓄えている糖質を貯蔵糖質とも呼びます。ヒトは貯蔵糖質のグリコーゲンと澱粉を消化してブドウ糖として吸収しています。
βグルカン βグルカンの研究の最初は、60年以上前に報告されたザイモサンという酵母由来の抽出物質にたどりつきます。
ヒトはβグルカンを分解できない
確かに植物、カビ・キノコはβグルカンを持っています。しかし、ヒトはβグルカンを分解する酵素を持っていないので消化することができません。
βグルカンの分子量を小さくして吸収を良くしたという記載がありますが、たとえβグルカンの分子の大きさを化学的に少し小さくしても、βグルカンの構造が残っている限りは吸収する事はできません。また、腸内の細菌の一部はβグルカンを分解可能ですが、βグルカンを分解するとブドウ糖になってしまいます。
また、一部のβグルカンは血液中濃度測定が可能ですが、βグルカンを服用後に血液中濃度を測定したという話はどうもないようです。
βグルカンは食物繊維として扱われています
実は、食品化学ではβグルカンは食物繊維として扱います。食物繊維としてのβグルカンを多く含む食品としては、麦飯に入れる大麦があります。
ビール酵母もβグルカンを多く含んでいます。(製造過程で除去するのでビールには含まれていません。)
腸内は元々真菌由来のβグルカンだらけ!
キノコや酵母由来のβグルカンは、上で述べたとおり、吸収する事はできないのですが、腸を通過する時に、腸の免疫系を刺激するという大胆な仮説があります。
その結果、 がん (悪性腫瘍)に対する免疫力も高まり、免疫系が がん (悪性腫瘍)を攻撃し、 がん の大きさが小さくなるという仮説です。確かに、腸管は腸内の微生物に対応するために、免疫をつかさどる発達したリンパ組織を持ちます。上記の仮説は一見、もっともらしい仮説です。
しかし、キノコの仲間のカビ(真菌)も消化管の常在菌の一つです。よって、腸内は元々真菌由来のβグルカンだらけなのです。また、味噌などの発酵食品で用いる麹菌も真菌の一種で、βグルカンを持っており、味噌を常食としている日本人ではアガリクスなどのキノコ類を食べなくても、βグルカンが日常的に腸管を通過している事になるのです。中絶薬