5/30付で下の詩をアップし、作者・李賀(李長吉)につき一文を草しようと

準備していた。とくに、荒井健著 「秋風鬼雨-詩に呪われた詩人たち-」

(82年 筑摩書房)を参照していたら、『李賀の色彩感覚』なる文章があった。

全244詩から使われた色を抽出し表にまとめている。

幾つかの解説などを散見すると、この詩のそれをたのしめなんて書いてある。



将進酒
   
瑠璃鍾 琥珀濃

小槽酒滴真珠紅

烹龍炮鳳玉脂泣

羅屏繍幕囲香風

吹竜笛 撃○鼓

皓歯歌 細腰舞

況是青春日将暮

桃花乱落如紅雨

薦君終日酩酊酔

酒不到劉伶墳上土


(○は鰐の意)


瑠璃の鍾 琥珀濃し

小槽 酒滴りて 真珠は紅なり

竜を烹て 鳳を炮りて 玉脂泣く

羅屏繍幕 香風を囲む

龍笛を吹き 鼓を撃ち、

皓歯歌い 細腰舞う

況や青春 日は将に暮れんとし

桃花 乱落すること 紅雨の如し

君に薦む 終日酩酊して酔え

酒は到らず 劉伶墳上の土に


(訳は前稿を参照)

色彩味匂香音楽舞姫と盛り沢山。絢爛豪華。

もうひとつ挙げておきたい。


 
少年楽

芳草落花如錦地     芳草落花錦の如き地

二十長遊酔郷裏     二十長に遊ぶ酔郷の裏

紅纓不動白馬驕     紅纓動かず白馬の驕り

垂柳金絲香払水     垂柳金絲香水を払う

呉娥未笑花不開     呉娥未だ笑はず花開かず

緑鬢聳堕蘭雲起     緑鬢聳堕蘭雲起こる

陸郎倚酔牽羅袂     陸郎酔に倚り羅袂を牽く

奪得宝釵金翡翠     奪い得たり宝釵の金翡翠






(以上は、07年6月21日の再録です)