10月15日、スウェーデンの新聞は、5人のノーベル賞選考委員のうち3
人はオバマへの授賞は時期尚早だとして反対したが、委員長のトルビョルン・
ヤーグラン(元首相、EU評議会議長)が強くオバマを推したのでオバマに決
まったと報じた。オバマ授賞はノルウェー政界各派の要人で構成されるノーベ
ル賞委員会の内部からわいてきた話ではなく、外部からの強い国際政治力が働
いて決定されたことが、この裏話からも感じられる。

こうした欧米イスラエル内の暗闘の図式に当てはめると、オバマがノーベル
受賞によってイラン空爆できなくなったことは、欧州勢と米国の隠れ多極主義
者(ホワイトハウス)が組んで選考委員長に圧力をかけ、授賞に持っていった
と推測できる。今後、イラン空爆は全くやらないか、もしくはイスラエル単独
でやることになる。イスラエルはまた一歩、不利な立場に追い込まれた。

オバマにノーベル賞が与えられた大きな理由の一つは、オバマが国連安保理
の5大国を含む全世界の核兵器廃絶を提唱したためだ。多くの人は「これまで
無数の指導者が核廃絶を提唱したが、一つも成功しなかった。オバマも成功し
ないだろう」と思っている。だが私は、オバマの核廃絶は従来の提唱より成功
の可能性が高いと考える。

(10/21付 田中宇)