▼北朝鮮安定化は米中G2の初仕事?

今春、国防委員会の各委員の顔写真が初めて労働新聞に発表され、
国防委員会が各委員の「顔」を持った集団指導体制的な組織に脱皮する
動きを見せたことは、非常に重要だ。

しかしその一方で、従来の金一族による世襲体制をすぐに壊すのは政治
の不安定を招きかねないので、金正日が死んだ後の表向きの後継者は
三男の金正雲にして、有能とされる妹婿の張成沢が摂政役をつとめる世襲を
維持しつつ、いずれしだいに一族外の人材を国防委員会に入れていき、
集団指導体制へと脱皮していこうとしていると考えられる。

この脱皮が失敗して一族政治に戻る可能性もあるが、成功した場合には、
北朝鮮は内政が安定し、常に米韓との緊張関係を必要とする状態から
脱することができ、南北協調や経済発展が可能になる。

オバマの外交指南役であるブレジンスキーらは、以前から
「米中G2で世界を主導する」という構想を提唱している。

この構想をオバマ政権がやっているのだとしたら、米国は北朝鮮を
威嚇して北を中国に寄り添わせ、中国は自国が成功した政治の集団指導体制と
経済の改革開放を北に採らせて安定化させるという、米中の「ぼけとつっこみ」
の役割分担が裏で行われていると考えることは、突拍子もないことではない。

北朝鮮の安定化は、米中G2の初仕事ということになる。
(記事:アメリカが中国を覇権国に仕立てる)

6・23付 田中宇