<生きようとするのは執着なのだと私はずっと思っていたのですが、
どうもそうではないようですね。人が生きようとするのは意志、生命本来
の意志として肯定されるべきことのようなのです。……
全ての人間は必ず死ぬとわかっているので、平常心は変わりません>
(↓への手紙)

奈良・吉野の専立寺(せんりゅうじ)に、池田さんの最後の対談相手となった
住職で大阪大名誉教授(宗教哲学)、大峯顕さん(78)を訪ねた。

「今にして思えば、ちょっと力みがあったと思うんですよ。死ぬことが何ともない、と。
死にたくないという気持ちを一度は持たないと、(死は)乗り越えられないと
僕は思っている。昔の偉い坊さんだってそうでしたから」

「彼女は言葉が崩壊することが耐えられず、本物の言葉を残したかった。
彼女の言葉は長く残りますよ。
芭蕉だって、柿本人麻呂だって、時間を超えて残っている」
(12・21付 毎日夕刊)