「エピソードでつづる初めてのクラシック音楽-スタンダード100-」
森本真由美著 服部幸三監修 07年6月 ダイヤモンド社


新刊本コーナーで見かけた本。
この手の入門書はゴマンと世にでているが、ボーイはほとんど目を通した
ことがない。こういう入門書を読みながら音楽を聴いたことが無いという
にすぎない。 が。。 あちこちパラパラめくりながらみてみると、結構
たのしめることがわかった。全然知らなかったこともタクサンある。
人間は謙虚でなきゃいけないなとおもった。

第4章は有名演奏家の曲ベスト20をとりあげ、その最初はR.シュトラウス
の「死と変容」。カラヤン版を推薦。VPO/BPOで五種類の録音があるという。
二人は深い親交があったと。。 戦後七ヶ月ぶりにカラヤンが指揮したのは、
「運命」と「死と変容」で伊のトリエステだったこと。
こんどはじめて知った。

カラヤンのモーツァルト、ベートヴェン、ブラームスの交響曲、とくに
70年代以降の演奏はガマンならぬものがある。
ただ、シュトラウスやほかの作曲家の管弦楽曲、とくに浪漫派のものは
絶品で右に出るものが無いことを認めざるを得ない。カラヤンの独断場だ。
「ツァラトストラ」「ドンキホーテ」「家庭交響曲」などいずれも忘れ難い。
それを超える演奏はもう出ないだろう。

有馬大五郎が晩年のカラヤンを訪ねた時、自分の右腕のワイシャツを
まくりあげながら、
「なあ、アリマ、この腕一本でずっとやってきたんだよ」としみじみと
語ったという。
この記事を読んだとき、カラヤンのいままでの厭な処を全て忘れ、
(僭越だが)許してやりたいとおもった。  また同時に涙が溢れてきた。

おもえば中二のときなけなしの小遣いをはたいて買ったLPが、フィルハーモニア
オーケストラとの運命・未完成だった。どんなに感動したことだろう!
前にも書いたが、われわれの世代は多かれ少なかれカラヤン先生の影響下
にある。著者はおそらくボーイより十年ほど若い方のようだが、矢張おなじ
状況なのだろう。けっこう多くの演奏が採られている。
借りてよかったな。。

帯です(↓)。
誰もが気になるアノ曲が生まれた背景、当時の状況、作曲家たちの
生活を知れば、クラシック音楽がもっと楽しくなる! 
バッハから武満徹まで、超有名曲100曲をエピソードと共に紹介。
初心者にオススメのCD案内付き。

東京芸術大学音楽学部楽理学科卒業。音楽療法学会会員。
音楽をはじめとする芸術、社会分野を幅広く執筆。
著書に「3日でわかるクラシック音楽」など。