ここで、「中国統計年鑑2006年版」を詳しく見てみますと、第
3次産業のGDP比率が40.2%と、まだ先進国の1960年代の水準相当
ですが、第3次産業へのシフトが進んでいることがうかがえま
す。なかでも、卸売・小売業などの商品販売分野の成長は目覚し
いものがあります。数字を挙げると1979年の1800億元から2006年
の小売総額は7兆6140億元と、約48.9倍の驚異的な伸びになって
います。中国の小売業の急成長、WTO(世界貿易機関)加盟後の
外資の参入など、盛んな企業投資活動が明らかになっており、特
に卸・小売業だけでなく、飲食業の規模も近年堅調に推移してい
ることが理解できます。
7月12日の中国誌「中国国情国力」によると、外食産業の売上高
は16年連続2ケタ成長を続け、2006年には1兆345億元になり、
2010年には外食産業の市場規模は現在の倍の2兆元(約32兆円)
に達する見込みと伝えています。このように最近の中国の主要小
売販売量を見ると、小売市場は過去の物不足時代における最低限
の衣食住を賄うための「温飽水準」から「小康水準」へ移行して
おり、部分的にはかなり豊かな社会生活水準に達していると言え
ます。
そこで、なぜこのようなGDPの高成長が続くのかについて考え
て見ます。経済理論によれば、資本・労働・人的資本などが高成
長の要因として挙げられますが、どのような要素が高成長に貢献
しているのかを見てみますと、資本の伸びは投資によって促さ
れ、その投資は貯蓄によって左右されるといわれています。中国
が過去26年間も順調に成長してきた背景には高い投資があり、投
資を後押ししたのが高い貯蓄率であったと考えられます。
日本では今回の景気回復局面で唯一伸びたのが企業収益で、6
割程度の伸びを示しました。企業収益は確実に改善しています
が、一方で労働分配率が低下しています。グローバル化が進んで
いる影響が、労働者の賃金に反映されているようです。
いま言われている日本の格差社会の遠因がここにもあるようで
すが、今回の世界的な好景気は特に先進国において、利子率(お
金を借りる金利)よりも利潤率(投資して収益を上げる)が高い
という極めてまれな状況が、なぜか2002年ごろから続いているこ
とが一因と思います。そのことで企業が高い収益を上げることが
でき、企業に潤沢な資金が蓄積され、株式配当も近年大幅に増加
しています。日本でも、個人の受け取る配当は2004年に4兆9000
億円と、預貯金からの利子収入4兆5000億円を上回り、2005年に
は利子収入が3兆円にとどまる一方、配当収入は7兆4000億円まで
拡大しています。
日本の家計においても税制の影響もありますが、近年少しずつ
変化が出てきています。貯蓄から投資への流れの中で株式投資信
託の残高がこのところの急速な伸びを示しているのはそれを表し
ているといえます。
3次産業のGDP比率が40.2%と、まだ先進国の1960年代の水準相当
ですが、第3次産業へのシフトが進んでいることがうかがえま
す。なかでも、卸売・小売業などの商品販売分野の成長は目覚し
いものがあります。数字を挙げると1979年の1800億元から2006年
の小売総額は7兆6140億元と、約48.9倍の驚異的な伸びになって
います。中国の小売業の急成長、WTO(世界貿易機関)加盟後の
外資の参入など、盛んな企業投資活動が明らかになっており、特
に卸・小売業だけでなく、飲食業の規模も近年堅調に推移してい
ることが理解できます。
7月12日の中国誌「中国国情国力」によると、外食産業の売上高
は16年連続2ケタ成長を続け、2006年には1兆345億元になり、
2010年には外食産業の市場規模は現在の倍の2兆元(約32兆円)
に達する見込みと伝えています。このように最近の中国の主要小
売販売量を見ると、小売市場は過去の物不足時代における最低限
の衣食住を賄うための「温飽水準」から「小康水準」へ移行して
おり、部分的にはかなり豊かな社会生活水準に達していると言え
ます。
そこで、なぜこのようなGDPの高成長が続くのかについて考え
て見ます。経済理論によれば、資本・労働・人的資本などが高成
長の要因として挙げられますが、どのような要素が高成長に貢献
しているのかを見てみますと、資本の伸びは投資によって促さ
れ、その投資は貯蓄によって左右されるといわれています。中国
が過去26年間も順調に成長してきた背景には高い投資があり、投
資を後押ししたのが高い貯蓄率であったと考えられます。
日本では今回の景気回復局面で唯一伸びたのが企業収益で、6
割程度の伸びを示しました。企業収益は確実に改善しています
が、一方で労働分配率が低下しています。グローバル化が進んで
いる影響が、労働者の賃金に反映されているようです。
いま言われている日本の格差社会の遠因がここにもあるようで
すが、今回の世界的な好景気は特に先進国において、利子率(お
金を借りる金利)よりも利潤率(投資して収益を上げる)が高い
という極めてまれな状況が、なぜか2002年ごろから続いているこ
とが一因と思います。そのことで企業が高い収益を上げることが
でき、企業に潤沢な資金が蓄積され、株式配当も近年大幅に増加
しています。日本でも、個人の受け取る配当は2004年に4兆9000
億円と、預貯金からの利子収入4兆5000億円を上回り、2005年に
は利子収入が3兆円にとどまる一方、配当収入は7兆4000億円まで
拡大しています。
日本の家計においても税制の影響もありますが、近年少しずつ
変化が出てきています。貯蓄から投資への流れの中で株式投資信
託の残高がこのところの急速な伸びを示しているのはそれを表し
ているといえます。