ボーイが駆け出しの頃、米国向けの輸出先(の一部)として東銀座にある中堅
商社とお取引をさせて頂いていた。
大学を卒業後、入社して半年ほど北国の本社兼工場で実習をしていた。寮の飯
はあまりにもヒドイんで、休みの日に歩いて15分ほどのスーパーでまとめ買い
をして、寮の冷蔵庫に入れておく(時どきイイモンは盗られたこともある)。
卵、ハム、かまぼこ、ハンバーグ、ピーマン、胡瓜の漬物等など。
会社が休みだと寮の飯も休み。電熱器でハンバーグやピーマンを焼いて、ビール
をがばがば飲んでいた
。仲間を呼んでやったこともある。
そんなことをこの商社の担当者と喋っていたら、五つ上のこのひとは言う。
「あのね、ボーイさん。そのx印のハンバーグなんですけどね。ウサギちゃん
の肉なんかも入っているそうなんですよ。ほかにもいろいろと。。」と具体的に
肉の名を挙げた。 以後、市販のそれを買ったことはない
。
彼のいった事は当事者の発言であり、ほぼまちがいはないと思われた。
今回の事件は、ボーイに、むかしのそんなことを思い出させてくれた。
彼はそれからまもなく姉さん女房
を貰い、単身シカゴに飛んで行った
。ボーイも
羽田で見送った。価格のやりとりで相当やりあった仲だったが、いざ自分の廻り
から離れられると、やはりさびしいものがあった。ゴルフ大好きの浅黒い顔。
五十歳を少しまわった頃、重役になったときいた。
よかったなあ、Kさん
!!