「古い知恵と新しい変化」 『金銭通は人間通』 邱永漢著 PHP出版 85年より

紆余曲折はあったが台湾経済は奇跡的な発展を遂げ、昨年(昭和58年)、
本年(昭和59年)と二年続きで年間50億ドル以上の出超が続き、
84年末で台湾の外貨準備鷹は確実に200億ドルを突破する。
日本の外貨準備高が250億ドルていどで、台湾の人口は日本の約6分の1だから,
人口比で行けば、日本が1200億ドルの外貨を持っているのと同じ状態になる、
外貨保有高から見る限り台湾は世界一の金持ち国にのしあがったのである。

その一方で、北投温泉は売春が禁止されて、“男の天国”でなくなってしまった。
失業した女たちは『外国観光旅行の自由化』を利用して、今までの『客寄せ』商売から
『出前』に方向換えをして日本に出稼ぎにくるようになった。
その生態を書いた『小姐東遊記』という短い短篇が私の『たいわん物語」という本
に収まっている。予想したとおりの動きになったが、どうして台湾の経済がこれだけ
発展したかというと、

第1に台湾の人たちが勤勉で働き者であるからだろう。
第2に教育水準が高く、知能程度が優れているかれらであろう。
第3に社会的投資がアジアでは日本の次くらいに行き渡って、工業の発展に向いて
いるからであろう。


(昨日の記事と一部内容がダブっていることをお断りします)