アンネット・カズエ・ストゥルナート著 新潮社 06年12月
著者の自伝。NHK「ラジオ深夜便」からこの本は生まれたという。
戦後中国からの引揚げ、若くしての祖母と母の死、学歴の低さによる差別。。
様ざまな苦労を背負いながら、三十歳で単身ウィーンに旅発ち、結婚、東洋人
として初めてシュターツオーパー(国立歌劇場)に入団、そこでの差別、成功
自殺未遂。。
淡々と抑制した語りが胸を打つ。
ただひとつ、ひたすら願いを続けてきたことがある。それは、「歌手になりたい」
という夢だった。そして、ずいぶん遠回りして時間もかかったが、その夢を
かなえることができた。
夢や希望はそう簡単に成就するものではない。しかし、ひたすら願ってゴールに
向かって走り続けていれば、必ずかなうと信じている。
持続する志と想いの熱さによって夢は現実のものとなる。
帯:極貧生活、いじめ、音大受験失敗、人種差別…。それでも夢を捨てず、
東洋人初のウィーン国立歌劇場団員歌手となって30年余。
その凄絶な半生を自ら明かす、感動・勇気・驚愕の自伝。
(1938年兵庫県生まれ。ウィーン・アカデミーを経て、東洋人として初めて、
ウィーン国立歌劇場団員歌手のオーディションに合格。同劇団員。歌手。
日本で声楽指導も行っている)