日経連載の朝刊小説「世界を創った男 ー チンギス・ハン」の特集記事の続きです。
堺屋太一の解説の纏め。

自由無差別胸に抱いて

1.世界征服の理由:真の目的は「人間に差別なし、地上に境界なし」のグローバル
な世界を創ることにあった。規制なき交易の実現。

2.なぜ強かったか:「殺す」が勝ちの思想。遊牧民の戦いは、何よりも敵を殺すこと
にある。単なる土地争奪戦ではない。

3.長続きの理由:「信仰の自由」。治安と納税が守られれば自治を認めた。
「安価な統治」。広大な領土の主要拠点に総督と60人の兵士のみを配置した。
通貨に工夫をこらした。

大モンゴル帝国と現代の米国は、多くの類似点を持つ。ゼロからの建国、多人種、多宗教、
多文化の取り入れ。(中略)
フビライハーン(五代目)は、豪華な大都(北京付近)を建設、海上貿易に乗り出し、真に
グローバルな帝国を築いた。だが、それが始祖チンギスハンの定めた文化不干渉と安上がりの
政府の路線を歪めるはじまりともなった。二十一世紀のグローバル国家、米国も同じ道を
歩むのだろうか。

付記 大沼映夫の挿絵はとてもチャーミングで雰囲気が出ていて、毎回たのしんでいる。