学生時代、あるいは20代の頃、吉川幸次郎の本には随分世話になった。
岩波新書 新唐詩選1.2.(共著)、漢の武帝、漱石詩注(後で文庫に入った)
新潮文庫 杜甫私記、陶淵明伝、中国の知恵
ほかに朝日文庫の論語の本など。
みんな安い本ばかりだったが、いまでは結構高い気がする。
岩波は★ひとつ50円、新書は均一料金で150円だった。新書を同級生たちと
一日一冊読むのを目指したこともある。のんきな時代だった。
いま新書は5倍くらいになっていて、値段もみなちがう。当時夏休みなどにバイト
すると、一日千円、卒業にちかづくと千二三百円だった。
ついでに、ふるーいお城みたいな小汚いルノアールも三年の頃建て直しされ、珈琲は
50%アップの150円になりやがった。もう誰も行かなかった。
ちっきしょーっ!
たまに漢詩をアップしたりするのは、上の三好達治・桑原武夫との共著の影響かもしれない。
わかりやすくおもしろかった。
当時、吉川はギョウカイで神様扱いされていた。朝日岩波筑摩など常時執筆していたし、
全集も筑摩より刊行されていた。最後には文化勲章まで受けたかと思う。
いつだったか20台のとき、朝日書評欄に、吉川の訳には誤訳が多いと指摘した
台湾人が書いた本が紹介されたことがある(小さな記事だったが)。朝日も随分大胆な
ことするなあと驚いた。その本は後に図書館で偶然見つけたが、薄っぺらい本だった。
中国語の発音と単語の意味の誤りをおもに指摘していたかとおもう。
題名がわかればいいのだが。。 惜しい!
次回は竹内好による吉川の翻訳批判について。
付記
念のため、いま検索してみたら、新潮文庫「杜甫私記」ではなく、「杜甫ノート」のようです。