藤堂明保「漢字の過去と未来」(岩波新書、82年9月)のつづきです。
漢字教育の根本
字形(略)青は、汚れなき新芽と四角い井戸わくの中にたまった姿を合わせた字で
「汚れなく澄んでいる」ことを表わしている。
清 澄んだ水
晴 すみきった空
精 汚れを去った米
静 もめごとがおさまり、しーんとすんださま
透明に澄んだ水や空気をすかしてみるとブルーに見える。それが青という色である。
そこでこれらをまとめて教える必要がある。漢字のほんとうの意味を知らせて応用の力を
養うことである。
言語の本質は、「音と意味の結びつき」にある。
セイ(青)という漢語の発音は「汚れなく澄む」という意味と結びつく。
文字はたんにことばを書いて見せる手段にすぎない。漢字を教えることだけに
気を取られ、漢語の使い方を訓練しなければ、国語の教師としては失格である。
(P.202-205)
(おわり)
付記
前に中野美代子さんの本を紹介したときに、呉音漢音宋音につきすこし記した。
本書でも156-168頁に詳しい。これも前に案内した同じ著者の「漢字の起源」よりも
ずっと踏み込んでいることを申し添えたい。(5/15)