新宿東口の銀行には、前の日に連絡しておいた。
いつもなら、担当のおばはん(セ-ルスレディー)に拙宅まで来てもらうのだが、
「思い立ったが吉日」というQさんの言もあり、ボーイも普段はグズののんびり屋なるも、
本件、決断してから早急に行動したかった。
舞台から飛び降りた翌日の事だった。

用向きはTELしておいたので、ビルの階上の殺風景な会議室に通され、
手続きはスムースに運んだ。おばはんには事情説明し、儲けたらまたすぐ戻すと約束した。 
あんまりいい顔はしなかった。さりながら、そのおばんには昨春、母親名義の預金で彼女の希望を
通したことがあるので、こちとらはおばんに心理的に貸しがあった。
うちはその銀行で儲かる顧客ではないが、ボトムでもないはずだった。

そんなんで、普通預金から二百も足し千二百万をボーイのネット口座に振り込んだ。
何の感慨もなかった。全て事務的に進み、銀行を辞した。
いよいよ株取引というゲーム=戦いの始まりだったビックリマーク

ぎゃるには株価のようす見て、買いの指値をわてに示すように言った。何日かして、
すこし下がった処でぎゃるの指値で買えたが、Qさんの言うとうり、買ってから益々下がって行った。
別に嘆きもしなかった。株とはそういうものなのだ。

買ったら下がる、売ったら上がる - これが株という魔物の実体だ。
(二十年前に買ったQさんの株入門書:ごま書房にもそうある。)

ボーイは、当初、この取引で一切の口を挟まないつもりだった。
すべてぎゃるの判断に任せようとおもった。
深夜帰宅後、ぎゃるはその日の状況をいくばくかのコウフンDASH!をもって報告してきたが
あまり気にしなかった。
下がってもいずれ上昇に転じるのをボーイは経験で知っている。

購入後二週間とすこし経ったころ、買値から10%も下がった株価が反発し始めた。
毎日すこしづつ上昇して行ったようだ。三週間で買値に戻り、その後もじわじわと上向いて行った。
ぎゃるは次第に怖くなってきた。折角ここまで上がって来たのに、また下がったらどうしようという不安。
その時点で、買ってからほぼ一ヶ月経過。

あと二週間ほど様子見るようにサジェストする。まだまだ上がるはずだ、待てっ!
その一週間後、ぎゃるはもう待てない、ここで投げると言った。
まだ百万までに八万足りない。もうすこし辛抱したら、と言うも聞き入れなかった。
焦るな!と言い含めたのだが。。

もう数日待て!
二日後、ぎゃるの指値を入れて出掛けたら、帰宅後決済されたと言った。
百万まで、あと五万だった! クソーッむっ
株価はその後もドンドン上がって行ったらしい。
Qさんの公式どうりだった。

ぎゃるのいうとうり、お金にはじゅうぶん働いて貰った
お金はん、ご苦労さん、お疲れさまでござんした。お引取りの時でございます。
税金を支払うと十万ほど足りなかった。

二回に分けてキャッシュで引き出したが意外と札の厚みは薄かった。
直接ぎゃるに手渡したが、ゲンキンの有難味もうすまるんじゃなかろうか?
ぎゃるは、たんに 「ア ・リ・ ガ・ ト」 と言っただけだった。
うれしそうな顔ひとつしなかったむっ。 
チッキショープンプン とおもった。

ひそかに、ぎゃるさまの感謝のディープ・インパクト - じゃなくって、ディープ・ケッスラブラブ 
を期待していたおれっちだったんだが。。
没有だった!
もう一回、チッキショウープンプンとおもった!

ようやくマネーゲームというお祭りは終わった。
家も、もとどうり落ち着きを取り戻した。
やや淋しくモノ足りない気もした。
これでイイんだと、じぶん自身に言いきかせた。
(おわり)