この文章は前回5.を書いている途中で消えてしまって、もうあきらめようと
おもったんですが、初志貫徹で簡単に記しときます。


その前に、1.(4/3付)で高校生のときに読んだ岩波新書「アダムスミス」がやっと
一昨日届いた。お隣のS区の図書館経由で。内容はじぶんの記憶にまちがいが
なかったのでほっとした。68年出版、92年で35刷。著者は90年に96歳で
死んでいる。稼いだもんだ!

国富論を途中まで読んで投げ出したのは岩波文庫版で大内兵衛訳(いまは絶版)。
翻訳が良くないと書いた。Qさんの「国富論ー現代の読み方」で、連載時の引用は
中公文庫版に拠られたとある。訳者は大河内一男でQさんの東大時代の恩師、良訳と
ある。(出版時に著作権の問題で引用できず、原書も参照されながら、ご自分でも
訳されたとあり。さすがだなあ!)

以前、「欠陥翻訳時評」というコラムが専門誌に載り文藝春秋から単行本化されており、
ボーイも半分ほど購入している。「国富論」水田洋訳、河出書房から当時発売されていた
この翻訳が「摘発」された。いまは、岩波文庫に入っている。
今回この稿を書くにあたりしらべた処、81年12月に掲載された。内容についてはここでは
勿論かけないが、読者の参考までに検索してみると。。

国富論の訳の問題は竹内謙二が他の翻訳を揶揄したりして、古くから問題とされていたし、
1990年代には別宮貞徳の欠陥翻訳時評の肴にされたりしていた。加えて割と最近山岡洋一氏が
この問題にWEB上で言及していることを知った。
それにしても岩波書店はどうして評判の芳しくない水田洋氏の訳を出し続けるのだろう。
もう一つ驚くのは、水田訳は誤訳と指摘されたところを絶対修正しようとしない。
これも見上げたものだとは思う。

http://www.gssm.musashi.ac.jp/~ono/tdiary/?date=20050815


別宮氏は他にも例をたくさん挙げてコテンパンにやっつけた。
それで水田訳は駄目だということになって絶版になった? とんでもない。
少々お色直しをしただけで大威張りで岩波文庫に引っ越したのである。
なぜだ?訳者の水田洋氏がものすごく偉いからである。
水田氏はアダム・スミス研究では国際的な業績を上げた学者なのだ。
http://sanjuro.cocolog-nifty.com/blog/2007/01/2_749b.html


だから、岩波文庫版はぜったいに読まぬようにしましょう!
欠陥翻訳時評については、また取り上げるつもりです。