小泉文夫著 94年6月刊 平凡社

小泉さんの本を図書館で見ると胸が締め付けられる思いがする。
「世界の民俗音楽」(?)と題して、毎週NHK-FMでオンエアーされていた。
この番組を聴くのが一週間の愉しみであった時期もある。

多忙故に早世されてしまった。いま生きておられれば80歳。さりながら、
ご本人は83年に56歳という若さで逝かれた。無念、口惜しさでいっぱいで
旅立たれたのだろう。あまりにも夢と理想を希求された方だった。

小泉さん、でも俺は生きている限り、あなたの著作をゆっくりと読み続けるでしょう。
この本はアンソロジーなるも、小泉さんのエッセンスが凝縮している良本。
とくに最終章の谷川俊太郎との対談「音楽・言葉・共同体」(75年夏)は、
知の饗宴を堪能できる
名対談で、いま読み返してみてもいささかの古さも感じられない。 

帯↓。
青土社 1977年刊の再刊
世界の諸民族が持つそれぞれの音楽に共通するものは何か。日本のわらべうた、
民謡から、北アメリカ、アジア各地の歌謡・民族音楽まで、鋭い分析と魅力的な語り口で
音楽と人間のかかわりを見つめ直す。

1927年東京生まれ。東京大学文学部美学美術史学科卒業。
インド留学から帰国後、東京芸術大学音楽学部勤務、教授。
世界の民族音楽の紹介に努めた。