フランシス・ウッド著 97年11月 草思社
五日ほど前に中野美代子さんの項で紹介した本。
本書は、朝日書評欄でも出版時取り上げられ、読みたいと思っていた。
日本では「東方見聞録」と訳されているが、欧州では単に「世界誌」と訳されているという。
なんか拍子抜けしてしまう。
じつに細かい点まで中国語の文献を狩猟し、今までのマルコポーロ研究の成果
をも比較して検討を加えた内容。著者は北京での滞在経験あり(帯参照)。
中野さんも英国で会ったという。
結論からすると、ウッド女子は、マルコちゃんは家族が経営拠点にしていたコンスタンチノープル
(イスタンブール)より東に行ったことがないのでは、と推論している。
それよりも大切なのは、この本が当時の欧州人への東方への熱き思い、中国や近東への
強い興味関心(伝説支配者生産物品)と貴重な情報源となり、ひとびとを大冒険の旅に
(とくに十四五世紀)駆り立てたことにある、と言われる。
そんなに分厚くなく頁数も少ないので、たのしく気楽に読める本とおもう。
帯(↓)
700年の間、世界中がダマされていた?
「東方見聞録」に万里の長城や纏足の話がないのはなぜか。
現存する「東方見聞録」の手稿と刊本の来歴、使われている言語、
そして最新の研究成果をもとに導き出された、驚きの新解釈。
著者紹介 〈ウッド〉ケンブリッジ大学卒業後、北京大学に留学。
現在、大英図書館中国部門主事。