Im Nebel (1905) Hermann Hesse


Seltsam, im Nebel zu wandern!
Einsam ist jeder Busch und Stein,
Kein Baum sieht den anderen,
Jeder ist allein.
Voll von Freuden war mir die Welt,
Als noch mein Leben Licht war,
Nun, da der Nebel fällt,
Ist keiner mehr sichtbar.
Wahrlich, keiner ist weise,
Der nicht das Dunkle kennt,
Das unentrinnbar und leise.
Von allen ihn trennt.
Seltsam, im Nebel zu wandern!
Leben ist Einsam sein.
Kein Mensch kennt den anderen,
Jeder ist allein.



霧のなかで   ヘルマンヘッセ  
 
霧のなかをさまようのは 言い難い気分
藪や石もみんな孤立して
木樹もお互いを知らぬ
みんなコドクなんだ

ぼくがまだひかり輝いてるころ
この世の中は友だちでいっぱいだった
でも霧がかかると
もうなんにも見えない

暗さを知らぬ輩は
利口じゃなかろう
その暗さはいつもつきまとい
逃げることはかなわぬ

霧のなかをさまようのは なんとも言い難い
人生はコドクなものなんだ
ぼくらはお互いを知らない
みんなひとりぽっちなのさ
(訳 by boy)


高校生のときに読んだ詩。
高橋健二はヘッセの主要作品を殆ど翻訳してるが、
訳は直訳調で生硬、まったく気に入らない(↓)。
今回引用したかったが、あまりにも硬いので自分で
訳してみた。文学的センスに欠けると学生の頃から
の感想だ。seltsamは訳しずらいが、一晩考えて
↑にしてみた。


霧の中               

不思議だ、霧の中を歩くのは!
どの茂みも石も孤独だ。
どの木にも他の木は見えない。
みんなひとりぼっちだ。

私の生活がまだ明かるかったころ、
私にとって世界は友だちに溢れていた。
いま、霧がおりると、
だれももう見えない。

ほんとうに、自分をすべてのものから
逆らいようもなく、そっとへだてる
暗さを知らないものは、
賢くはないのだ。

不思議だ、霧の中を歩くのは!
人生とは孤独であることだ。
だれも他の人を知らない。
みんなひとりぽっちだ。
                (高橋健二訳)