Vision Of Disorder。ニューヨークはロングアイランドにて1992年に結成。通称、VOD。

96年、RoadRunnerから1stアルバムをリリースする。


★★★★★★★★☆☆8


負の感情を露わにして絞り出される退廃的なシャウトを、切れ味鋭いメタリックなハードコアサウンドに乗せた、衝撃のデビューアルバム。

他のNYHCバンドと比べればとにかくハードで、強靭な鋼のようなサウンドである。

彼らの特徴の一つと言える、変則的なリズムシフト&独特の曲展開はここで既に確立されている。

しかしメタルとハードコアが共存している特異なサウンドは、それぞれのシーンからの反発もあり、正当に評価はされなかった。






98年には2ndアルバムをリリース。

★★★★★★★★★☆9

怒り、憎悪、陰鬱さ極まる、まさに混沌の二文字が相応しい作品。
全身全霊でスピットされる、野獣咆哮とも言えるボーカルの残虐性は前作を軽く上回り、
ザックザクのリフ際立つゴリッゴリのネガティヴグルーヴが全編を支配する。
ファーストの頃に垣間見えた呪術的な歌い回しはさらに磨きがかかり、カオティックさを加速させている様に感じる。
ハードコアシーンでも異端の存在である彼らの傑作。例えるなら、高速道路で他車を弾き飛ばしながら暴走するロードローラーのようなサウンド。





99年には3rdアルバムをリリース。
★★★★★★★☆☆☆7

93〜95年迄のカセットテープシングルをはじめ、94年のLoyal To Noneとのスプリット作品(7インチ『Split Atom』の方ではなくカセットテープの方)や、
95年リリースの4曲入り7インチシングル『Still』など、今やレアトラックともいえる、サードアルバムというよりは初期音源のリテイク集。
ニュースクールハードコアの中でも特別な存在と成っている彼らの、初期に見られた荒削りな衝動はそのままに、
デビュー前より凶暴性を増した怒号に似たボーカルを、テンポに巧みに変化を付けるVODの怒りのサウンドに合わせている。
滲み出るネガティヴメンタルアティテュードをビンビン感じるコンピレーションアルバム。