毎朝6時起床。

冬の冷たい空気と匂いが好きだ。
目覚ましを止めるとシーンと静かな時間を感じる。

N氏はS市役所に務めている。

9時前には出勤して机上の整理を始める。
前日の帰宅時にも整理をしているから、特に整理をする所はないが毎日の決め事だ。

N氏の仕事は主に書類整理とPCへのデータの打ち込み。

まれに電球交換を頼まれたりするが、まれだ。



今日も書類整理とデータの打ち込みだ。

地味に見えるこの仕事がN氏は気に入っている。
毎日、毎日。

書類倉庫に運ばれたそれらを机上の右側に積み、打ち込みが完了したらそれらを左側に積む。

その作業の繰り返し。

正午になるとN氏は麻袋に入れた手弁当と水筒を右手に持ち、薄い短編小説を左手に持ち市役所の屋上へ上がる。

お気に入りの場所。

雨と風が強い日以外はこの場所で昼食を取る。
雪の日は例外。
深々と降り積もる雪を眺めての昼食は、凍える程寒いけれど神秘的だ。

少し大きめのおむすび2つと、ウインナー、甘めの卵焼き。

この季節は温かいジャスミンティーが水筒にいれている。

おむすびを頬張りながら、短編小説を読む。

ジャスミンティーが体内に温かく広がる。

午後からの作業も頑張れそうだ。

毎日の繰り返し。



今日は火曜日だから、N氏が毎週楽しみにしている娯楽番組がある。

午後になると楽しみで楽しみで、カチカチとPCのキーボードの音がつい大きくなる。

今夜は特に冷え込むから夕飯はおでんにする。

ちくわぶと大根が好物だ。



夕方17時。

本日分の打ち込みを全て終了し、机上の右側は綺麗になった。

左側の書類を打ち込み終了ボックスへ移し、一番上の書類に付箋紙をつけて日付けを記入。

机上の整理をして18時半には自宅へ帰宅。

20時に始まる娯楽番組を見るために夕飯の準備と風呂を沸かす。

風呂に入りながら早くみたいなぁとひとりごと。

コタツでおでんをつつきながら娯楽番組を見て、黒豆茶を飲む。

ふふふ。
くくく。

はぁ。

23時。

N氏は床につく。

明日も6時起床。
少し大きめのおむすび2つと、ウインナー、甘めの卵焼きを作る。

机上の右側に積まれた書類を左側へ移す。

それが毎日。

それがN氏。