Shortstory Ⅰ ショートストーリー Ⅰ ： M （夢の中の現実） 1-6

彼女は、La Folle Journee New York Branch office（ニューヨーク支社）の
MD（マーチャンダイザー）兼Secretaryだ。
元々La Folle Journeeはフランスが発祥であり本社を構えているが、
ファッションスタイルの統括デザインはここニューヨークが持っている。

ジェニファーがそのMDであるわけであるが、私は赴任前の彼女とのメールの
やりとりでは、あまりにも簡潔なビジネスライクな内容だったこともあり
（当たり前だが）・・・何となくできる女性（おんな）のイメージを
先入観で持っていた。

ところが９月に赴任で降り立ったジョン・F・ケネディ国際空港では、
彼女は到着ロビーで『 YOURI 』と書かれたプラカードを持って
私を出迎えてくれたのだった。

しかもYOURIの横には『どんぶり』にえび天が乗っているという、
えび天丼のイラスト付きで・・・。

あとで聞いてみたら彼女は日本食、特に天麩羅だ大好きなようで
その中でもえび天がたまらなく好きらしい。

日本＝えび天が彼女の日本のイメージ。

『 YOURI 』と書かれたプラカードも、空港からジュメイラ・エセックスハウスに
向かうタクシーの中で自分の名前は『 YURI 』であることを説明したら
申し訳なさそうに平謝り・・・

そんなこんなで彼女の印象はがらっと変わってしまった。

そんな彼女と今日待ち合わせたのも、ショッピングを装ってライバル会社の
ショップの偵察に行くという・・・
まあ何ともビジネスの延長線上のものだった。

わざわざその店にアレンジメントを加えたドレスをオーダーし
やりとりの一部一部始終をモニターするという・・・
まあ専門のリサーチ会社に頼めばそれはそこそこのデータが集まるのだが、
私の上司でもあるジェニファーはそれだけでは満足しない性格なのだ。

Iphoneにはジェニファーの今いる位置情報が表示されている。

ジェニファーの連絡が予定より少し遅くなったこともあり、
私はモニター先の店の前で待ち合わせする旨、
彼女にコンタクトメッセージを送った・・・。

すぐに返信がきた。

＜　OK　YURI  ：）I will get there in 10minutes. ＞

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IN  NEUE  DKNY ５th Aveneue　（５番街 ノイエ　ダナキャランNY店にて ）


「　もう少しウェストが絞れた感じのものがいいんだけど・・・」

「　かしこまりました・・・お待ちください・・・」

ジェニファーはショップのクルーに、好みを伝えて自分に似合うビジネス用の
スーツを探させている。

（続く・・・）

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