『 そう・・・魂をね・・・生まれ変わるための
エネルギーを吹き込む・・・ 』
「 生まれ変わるための・・・か・・・」
紗南はひどく疲れているように見えた。
無理もない・・・。
そんなに多くの人々を迎えて・・・
状況を説明して・・・
次のゲートに案内する・・・
きっと自分なら耐えられないだろう。
『 那由他・・・ もうそろそろ
今日は時間なの・・・帰らなきゃ
・・・ ラキア(Raqi'a)に 』
「 ああ・・・済まない・・・こんなに
時間を取ってしまって・・・
折角の光代謝の貴重な時間だったのに・・・」
『 ううん・・・大丈夫・・・
話をして心から溢れ出しそうだった
怒りや悲しみが・・・
少し溶けて消えた気がする・・・ 』
「 そうか・・・よかった・・・ 」
紗南といっしょにいたのは1時間程
なのに・・・なんだか何日もいっしょに
いた不思議な感覚が身体を包んでいた。
『 那由他・・・』
「 澪さんのことは・・・いいの?」
『 ・・・・・・・・・・ 』
「 いいんだ・・・もう・・・
忘れないていかないと・・・」
『 ゼブルに行けば会えるから・・・
様子を見てくる・・・私なら
いいでしょう?・・・ 』
「 うん・・・そうだね・・・」
『 じゃあ そろそろ 行くね・・・』
「 次はいつ・・・会える? 」
『 ・・・・・・・・・・・ 』
紗南は答えなかった・・・。
『 (きっと次の夢の中で・・・
そう・・・きっと会えるよ・・・)』
次第に紗南のからだは淡い緑色の光に
包まてていく。
とても暖かい光だ・・・・
『 (じゃあまたね・・・)』
ずっとこちらを見つめている
紗南がそう言った気がした・・・
淡い緑色の光は・・・
紗奈のからだを完全に包こみ、
そして一気に上空に向かって
上がり出した。
そしてものすごい速さで・・・
消えていった。
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・・・・・しばらくして
自分が夢の中にいることを
自分で感じていた。
そしてどうにかして・・・
自分を目覚めさせなければいけない
と・・・これも夢なのだろうか・・・
随分ともがいた気がする。
ようやく我に返って
現実とも・・・白日夢ともつかない
不思議な感覚の余韻に
しばらく浸っていた・・・。
今年も夏の風物詩の
迷路のひまわり畑を見にきて・・・
駐車場でつい
運転席を倒して目をつぶったら・・・
ひまわり畑の迷路の中に
吸い込まれるごとく・・・
私は不思議な世界を
往来してきたようだ。
確かに紗南と話をした・・・。
それは確かなようだ・・・。
クルマのダッシュボードに
光り輝くものが・・・。
それは・・・
紗南が左腕につけていた
クロムハーツのブレスだった。
