蝉の鳴かない8月(2-7話) | lilychien-fc2012

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ショートストーリー、イラスト制作(練習中)記事、音楽関係、日常の話題など・・・気ままな日記です。

『 そう・・・魂をね・・・生まれ変わるための

エネルギーを吹き込む・・・ 』

「 生まれ変わるための・・・か・・・」


紗南はひどく疲れているように見えた。

無理もない・・・。

そんなに多くの人々を迎えて・・・

状況を説明して・・・

次のゲートに案内する・・・


きっと自分なら耐えられないだろう。


『 那由他・・・ もうそろそろ

今日は時間なの・・・帰らなきゃ

・・・ ラキア(Raqi'a)に 』


「 ああ・・・済まない・・・こんなに

時間を取ってしまって・・・

折角の光代謝の貴重な時間だったのに・・・」


『 ううん・・・大丈夫・・・

話をして心から溢れ出しそうだった

怒りや悲しみが・・・

少し溶けて消えた気がする・・・ 』


「 そうか・・・よかった・・・ 」

 

紗南といっしょにいたのは1時間程

なのに・・・なんだか何日もいっしょに

いた不思議な感覚が身体を包んでいた。


『 那由他・・・』

「 澪さんのことは・・・いいの?」


『 ・・・・・・・・・・ 』


「 いいんだ・・・もう・・・

忘れないていかないと・・・」


『 ゼブルに行けば会えるから・・・

様子を見てくる・・・私なら

いいでしょう?・・・ 』


「 うん・・・そうだね・・・」


『 じゃあ そろそろ 行くね・・・』


「 次はいつ・・・会える? 」


『 ・・・・・・・・・・・ 』


紗南は答えなかった・・・。

 

『 (きっと次の夢の中で・・・

そう・・・きっと会えるよ・・・)』

 

次第に紗南のからだは淡い緑色の光に

包まてていく。

とても暖かい光だ・・・・


『 (じゃあまたね・・・)』


ずっとこちらを見つめている

紗南がそう言った気がした・・・

 

淡い緑色の光は・・・

紗奈のからだを完全に包こみ、

そして一気に上空に向かって

上がり出した。

 

そしてものすごい速さで・・・

消えていった。


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・・・・・しばらくして

自分が夢の中にいることを

自分で感じていた。


そしてどうにかして・・・

自分を目覚めさせなければいけない

と・・・これも夢なのだろうか・・・


随分ともがいた気がする。

ようやく我に返って

現実とも・・・白日夢ともつかない

不思議な感覚の余韻に

しばらく浸っていた・・・。


今年も夏の風物詩の

迷路のひまわり畑を見にきて・・・


駐車場でつい

運転席を倒して目をつぶったら・・・

ひまわり畑の迷路の中に

吸い込まれるごとく・・・

私は不思議な世界を

往来してきたようだ。

 

確かに紗南と話をした・・・。

 

それは確かなようだ・・・。

 

クルマのダッシュボードに

光り輝くものが・・・。

 

それは・・・

紗南が左腕につけていた

クロムハーツのブレスだった。