紗南は、その時の記憶を一つひとつ・・・
それがつい先ほどの出来事だったかのように
話しはじめた。
『 最初に来た方はね・・・初老の方で・・・ゲートから
ゆっくりと入ってきたの・・・全身ずぶ濡れでね・・・
手には色がグレーのチケットを持って 』
「 チケット? 」
『 そう・・・。さっき言った予約チケットの半券を
ゲートを入ってくる(来訪者)は持ってくるの・・・
その半券をいただいて、私の手元の案内チケットと
組み合わせるの・・・ 』
「 ・・・・・ふーん 受け付けはそういう風にするんだ・・・」
『 そう・・・組み合わせたチケット(来訪者)にお返しして
受け付けは終了。組み合わせの済んだチケットを日の光にかざすと
次の行先ゲートナンバーの指示が書いてある・・・ 』
「 ・・・・・・・・・・・・ 」
『 その日・・・はじめの頃はとても怖かった・・・なぜって
みんな無言なのよ・・・この建物・・・そしてゲートを見て・・・
驚くでもなく・・・まるで吸い込まれように私のところに
やってくる・・・何も言わないで・・・半券をこちらに差出し・・・
そして組み合さったチケットを持って次のゲートに・・・』
「 ・・・流れ作業みたいになっていく?・・・ 」
『 そう・・・そんな感じ・・・ 』
「 人数が多いから・・・結構大変だよね 」
『 ええ・・・でもこれが私の役割だし・・・
そしてね・・・ある(来訪者カップル)が来たの
