蝉の鳴かない8月 | lilychien-fc2012

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ショートストーリー、イラスト制作(練習中)記事、音楽関係、日常の話題など・・・気ままな日記です。


蝉の鳴かない8月(1)




遠くに向日葵(ひまわり)畑が見える・・・。



花の部分がゆらゆらとぼやけて見えるのは



陽炎がのせいだろうか?







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2012年8月17日(金)



去年に比べれば何となく涼しい夏のような気がする。



その向日葵畑は来週土日のイベント用に


 


迷路が中にはりめぐらされている。



直径800メートルはあるこの


 


向日葵畑の迷路・・・




終日、中で右往左往してしまい



とうとう出ることが出来ないで閉園時間を



迎える人あるいはカップルもいるらしい・・・。



 


太陽の位置や、まわりの風景を確認しておけば



迷子になることなどないと思われるのだが、


 


・・・どうもそれは違うようだ。




向日葵は大きく成長していて、



3メートル近くになっている。



まわりは見えない。




冷静に空を見上げて、



太陽の位置や風向を考えれば、


 



脱出出来そうな気もするが、



出れないのではないか・・・という焦りが


 


途中から加わるようだ。



それに備えてだろうか・・・畑の一角には



『 監視塔 』 がものものしくそびえ立っている。

まるで、捕虜収容所の監視塔のようだ。



 


確かに、こんな大きな迷路だ・・・



当然迷子も毎年出るらしい。



そんな人のために、『 降参 』の時には



入場時に渡される非常用のレーザー筒を使うのだ。



 


空に向かったレーザー筒の『 緑光 』は、



『 降参 』の印。



50メートルはある、『 監視塔 』の監視員は



そのレーザー筒の座標を手元のiPadで特定、


 


その位置座標を塔の下で待機する


 


通称『 セイバー 』に『 救出 』の指示する。



溺れた海水浴客を助けるライフセーバーの如く



 


指示を受けた 『 セイバー 』は向日葵畑の中で



途方に暮れている『 迷子 』を救い出すのだ。




直径800メートル。



今年で4年目のイベント。



毎年200メートル・・・


 


直径が大きくなってきているらしい。



円形になっていることも、



迷路に入ってからの方向感覚を見失わせるらしい。




さて今日は、特殊コンバイントラクターで造成した


 


この迷路の『 成果=難易度 』を確認するため、


 


そして来週土日のイベントの予行演習を兼ね


 


招待された100名程がこの向日葵畑に入っている。



 


ささやかだが・・・腹ごしらえを兼ねた

参加者昼食会を行ったあとに

『 迷路への旅立ち 』が

はじまったのが午後3時・・・




スタートしてもう既に3時間が過ぎただろうか・・・





 


最初は迷路を間違えた人達の笑い声や、



カップルのいちゃいちゃする会話が


 


聞こえていたのだが、今はそれはない・・・。



皆どうやったら脱出できるか・・・



真剣に迷路をいったりきたりしている。

途中で他の人やカップルと鉢合わせをして

きた路を戻る人、いっしょに力を合わせようと

合流するカップル・・・。


中には大喧嘩をはじめたカップルも・・・。

さまざまだ・・・。




一人の力ではどうにもできない・・・

力を合わせてもかなわない・・・


そういうものなのだろうか?

いや

諦めてはいけない・・・。




ふと向日葵畑を見ると

いつのまにか




 


『 緑光 』が3本・・・

空に向かっている・・・。




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この向日葵畑の迷路・・・


 


入ったまま帰ってこない人がいるという


 


何やら怪談話のような噂が昨年から


 


出だした・・・。



 


イベント運営側は、毎日開園時に


 


入場者数と・・・最終的に出てきた


 


人数を照合し、その数字が同数なのを確認して


 


閉園している。



 


そのために迷路に入る前に非常用のレーザー筒と



識別チップを一人ひとりに必ず渡しているのだ。



当然のことだろう。


 


そう・・・


 



また、識別チップは、入場者には知らせていないが


 


位置情報を発信する機能がついている・・・。

運営側は万が一に備えて、入園者の位置を

把握しているのだ・・・。




しかしだ・・・

数日すると、向日葵畑の迷路に行って



帰ってこないという捜索願が

警察に出ているという・・・。




とても不思議な話ではある・・・。



                                       by nayuta