こんにちは

心理セラピストの野沢ゆりこです。

おもに東京・千葉で活動しています。

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どんな人に向けて活動しているの？

自己否定が強い

自分責め、罪悪感が強い

そんな人が過去はどうであれ、

「私っていいな」に変わるセラピー

を目指しています。

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「理想化とこき下ろし」　人を完璧か最悪化でしか見られなくなるとき

「最初はあんなに素敵だと思っていたのに、
今では信じられないほど嫌いになってしまった」

そんな経験、ありませんか？
これは決してあなたが「気分屋」だからではなく、

人間の心の深いところにある防衛反応――
「理想化」と「こき下ろし」と呼ばれる心の動きです。

理想化とは？

「この人こそ、私を救ってくれる」

理想化とは、相手を完璧で欠点のない存在として見ることです。
出会ったばかりの恋人や上司、友人、セラピストに対して、

「この人に出会えて人生が変わった！」
「この人なら、私をわかってくれる！」

「この人こそ、私が探し求めていた人に違いない！」

と感じる瞬間があるかもしれません。

もちろん、初期の信頼や憧れは自然なことです。

ですが理想化が強すぎると、相手を“現実の人間”としてではなく、
「心の拠りどころ」「安心の象徴」として見てしまうのです。

こき下ろしとは？

「やっぱりこの人も信じられない」

そして、相手がほんの少し期待を裏切ったとき――
返信が遅れた、冷たく感じた、思ったように動いてくれなかった。

その瞬間に、

「もう無理！」

「裏切られた！」

「あの人は最悪！」

という激しい否定の気持ちが湧き上がることがあります。

これが「こき下ろし」です。
理想化していた分、その反動で相手を極端に悪く感じてしまう。
“白か黒か”でしか人を見られなくなるのです。

なぜ理想化とこき下ろしが起きるのか？

その背景には、多くの場合、人との関係での深い不安や傷つきがあります。

幼少期の体験の影響

親や身近な人が、時に優しく、時に冷たく、一貫しなかった
愛されるためには「いい子」でいなければならなかった
拒絶や見捨てられの体験が繰り返された

このような体験を持つと、心の中に、
「人は信じたいけど、裏切られるかもしれない」
という相反する感情が共存します。

それに耐えるのがつらいために、
「この人は完全に良い人！」→理想化
「やっぱり悪い人だった！」→こき下ろし

という形で心のバランスを取ろうとするのです。

理想化とこき下ろしをしがちな人の心の中

理想化とこき下ろしを繰り返す人は、実は感受性が豊かな人で、

他者との関係を深く求める傾向があります。
ただし、心の中では次のような葛藤が起きています。

「愛されたいけど、拒絶されるのが怖い」
「近づきたいけど、傷つくのが怖い」

このため、相手が少しでも距離を取ると不安が爆発し、
「裏切られた」と感じてこき下ろしてしまうのです。

その背後には、
「本当は見捨てられたくない」
「私は愛されていい存在なの？」

という、深い孤独と自己価値の揺らぎが隠れています。

補足：境界性パーソナリティ特性との関連

理想化とこき下ろしのパターンは、誰にでも起こりうる心の動きです。

ただし、感情の振れ幅が特に大きく、関係が安定しにくい場合には、

心理学では「境界性パーソナリティ障害（BPD）」の特徴として
この傾向が現れることが知られています。

これは「病名」や「レッテル」ではなく、
人との関係で強い不安を感じやすい心のスタイルとして理解するのが大切です。

「境界性」という言葉は、
“人との距離の取り方”や“感情の境界”が揺れやすいという意味を含んでいます。

そのため、BPDの方にとっては理想化とこき下ろしが
より強く・頻繁に表れる傾向があるのです。

巻き込まれた時――どうしたらいい？

もしあなたの身近な人（恋人・友人・家族など）が、
理想化とこき下ろしを繰り返しているとしたら、

とても疲れる関係になることがあります。

そのときに大切なのは、感情に飲み込まれないことです。

1. 相手の感情を「自分への評価」と受け取らない

相手の「大好き！→嫌い！」という反応は、
あなた自身の価値を反映しているのではなく、
相手の中の「愛されたい・怖い」という葛藤のあらわれです。

「この人、今とても不安なんだな」
と理解して距離を取るだけでも十分です。

2. 境界を大切にする

相手に振り回されそうなときは、
「できること」と「できないこと」をはっきり伝えることが大切です。

「あなたの気持ちは大事にしたいけど、
私も自分の時間を大切にしたいの。」

無理に応えようとすると、あなた自身が疲弊してしまい、
関係が長く続かなくなります。

3. 「修復できない関係」もある

理想化とこき下ろしが強い関係では、
一方がいつも我慢したり、自己犠牲的になったりすることがあります。

そんなときは、関係を修復しようと無理しない勇気も大切です。

「この関係を続けることが、もう私を苦しめている」

と感じたら、距離を取ることは“逃げ”ではなく“自己尊重”です。

人間関係は「続けること」だけが優しさではありません。
自分の心を守ることもまた、立派な愛のかたちです。

終わりに：関係を理解し、選び取るということ

「理想化とこき下ろし」は、人間関係の中で起きる自然な心の反応です。

その背後には、愛されたい・見捨てられたくないという切実な思いと、
それをうまく伝えられなかった過去の痛みが隠れています。

誰かを理想化するのも、こき下ろしてしまうのも、
「関係を失う怖さ」に耐えられない心の叫びなのです。

だからこそ、私たちがすべきことは、
誰かを責めることでも、自分を責めることでもありません。

「なぜ、そんなに不安だったのか」

「なぜ、あの瞬間に傷ついたのか」

――その背景を静かに理解しようとすることです。

そして、関係を続けるかどうかを選ぶとき、
「相手をどうにかしよう」とするよりも、
「自分の心が安心でいられるか」を基準にしてみてください。

ときには、距離を取ることが最も誠実な選択であることもあります。
関係を保つことより、自分の心を守ることを優先していいのです。

そうした選択を重ねるうちに、
私たちの中には「現実の他者とつながる力」が少しずつ育っていきます。

それは、理想化やこき下ろしの揺れを超えて、
“ありのままの関係”を生きられるようになるための一歩です。

今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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