実家には3代、ワンちゃんがいた。
初代は、私が浪人生で実家に住んでいた1990年代に
生後2ヶ月でブリーダーさんから買った、マルチーズのリーちゃん。
可愛かったなぁ。
15年生きて、2005年に旅立った。
当時、社会人で家を出ていた私は、土日に帰省し、
もう最後かもしれない、、と月曜も会社を休んで、実家にいた。
その日のお昼に、ダイニングでステンと転び、抱き上げ、
少し痙攣をし、そのまま息を引き取った。
私にとって一番身近な存在を亡くす初めての経験だった。
とても苦しく辛いものだったが、
私の胸の中で息を引き取ってくれたことは、
後々、後悔を少なくしてくれるものであった。
その後、2007年に、劣悪な環境下にいたパピヨン
保護会から引き取った、推定5才。
ナナちゃんと名付け、母は愛情を注いだ。
生まれてから子供を産むことだけ強制されてたナナちゃんは
散歩もしたことない子だったけれど
母に心を開き、たまに帰る私にも懐いてくれて、散歩にも行けるようになった。
最初から長くは生きられないことは分かっていたけれど
翌年2008年に、母に抱かれて旅立った。
母がとても落ち込んでしまったので
私はまた保護犬マルチーズやパピヨンを探して
2009年に推定2歳で我が家にやってきた。
母は嬉しそうに名前を色々考え、マリちゃんと名付けた。
マリちゃんは、ちゃっかり甘えん坊で
時には厳しく躾なければならない母よりも
何も怒らず(あまり世話もしないわけだが)甘やかす一方の父に
べったりと懐いた😆
母は、少々、いや、かなり、嫉妬していた😅
それでも、マリちゃんは可愛かった。
コロナが始まる直前の、2020年お正月に帰った時の写真。
この時で13歳だから、もうお婆ちゃんの域に入るのだが
可愛かったなぁ〜。
翌2021年、母の病状は進み、いよいよもって今度入院したら
もう退院できないだろう、
何よりも、もうマリちゃんのお世話をする気力体力がなかった。
父は、マリちゃんが元気な時は可愛がるが
マリちゃん自身も白内障も進み、食欲も落ち、
きちんとできていたトイレも失敗するようになると
キレたり、イライラすると入院中の母に文句を言うようになった。
入院前に、母はマリちゃんを私に託した。
お父さんじゃ無理だから、可哀想だけど安楽死も考えて…と。
あれほど可愛がっていた母、よほど追い詰められた気持ちだったのだろう。
私が引き取るよ、連れて帰るよ、と言うと、母は渋った。
電車で片道2時間、ケージに入れたこともないし、ましてや電車に乗ったこともない、
もう元気な成犬とはいえないマリちゃんには、酷なことだ、それは無理だろう、と。
また、口には出さなかったが、引き取った後の私の負担も、母は慮ってくれたのだろう。
有難いことに、実家近くの保護会の知人が
マリちゃんを引き取ってくださる御家族を紹介してくださった。
母が亡くなる前に、引き取ってくださり、母も安心してくれた。
その後、父は入院となった。
保護会のホームページで、里親様のマリちゃん元気です、と掲載されて
父も私もたいへん嬉しかった。
里親に出した時は、相手のことは知らせてもらえないし
ワンちゃんにも、もう会えない。
だから、そうやって写真を送ってくださった里親様には感謝しかなかった。
昨年2022年8月、父の容態が悪化して、院内でコロナにも感染。
私は心の持って行き場がなく、何気なく、保護会ホームページを見ると
ちょうど数日前に、里親様からお便りです!と
マリちゃんがお花畑で散歩している写真が載っていた。
その姿は、2020年のお正月の庭にいた時のように、右を向いてる仕草。
右を向くのは、クセだったのかしらん、たいてい写真は、いつもそうだった。
マリちゃんが幸せそうにしている様子は、私にとって慰めとなり
集中治療室のガラス越しの父には、もう話せなかったけれど
必死に写真を拡大して見せたものだ。(まぁ父は眠っていたのだけど)
そして、数日後に父は亡くなり
今年2023年、今、色々と相続手続き中。今年中に実家も処分することになるだろう。
母と父が、花いっぱいにしていた庭、それを目に焼き付けたくて
先週末に実家に行ってみた。
水仙の花が咲き乱れ、まだ2つチューリップ🌷も残っていた。
庭で花を摘みながら、初代リーちゃんと、3代目マリちゃんが
よく庭を全力疾走してきたなぁ〜、
こちらを誘うように挑発してきて、追いかけっこしたなぁ〜、
相手をしないで、シレッとしていると、植木の向こうから
ヒョイと顔だけ出して、こちらを見ていたなぁ〜、
色んなことが思い出された。
妙に鮮明に色んなことが思い出された。
今、父と母のことを一番に共有できるのは、マリちゃん。
会いたいなぁ、抱っこしたいなぁ、と強烈に思った。
虫の知らせだったのかもしれない。
今日、何気なく久しぶりに保護会ホームページを見ると
その私が実家で思い出していた日に、最近のマリちゃん写真が掲載され、
その翌日に、天国へ旅立ったそうだ。
あぁ、一週間前のあの日あの時、
マリちゃん、最後に会いに来てくれたんだなぁ、、。
老犬で決して元気いっぱいとはいえない状態だった
マリちゃんを引き取ってくださり
最後まで愛情を注いでくださった里親様には、本当に感謝しかない。
2年前、母の言葉に従って、無理に私が引き取らず
近くの里親様に託したのは、良かったのかもしれない。
父のことで大変だった私は余裕がなかったし、
マリちゃんを引き取って、こうして見送ることになったら
母に続いて父を見送ったダブルパンチに続いて、
トリプルパンチに打ちのめされていただろう、、
もちろん今、悲しいのだけれど、
穏やかな気持ちで、マリちゃんに想いを馳せることができる。
結婚前に過ごした私の家族は全て、虹の向こうに行ってしまったなぁ。
生あるものは、いつか死ぬのだ。
もう十分に分かっていることなんだけど
やっぱり、堪えるね。。