「13階段」高野和明

 

第47回(2001年) 江戸川乱歩賞受賞)

 

犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。処刑までに残された時間はわずかしかない。二人は、無実の男の命を救うことができるのか。江戸川乱歩賞史上に燦然と輝く傑作長編。

 

 

 

まず、”死刑囚”という文字に、その死刑囚目線で彼が主人公で物語が進むのかと思いきや、ほとんど出番がなく、

正当防衛による殺人で仮出所中の青年と刑務官の2人が主人公で、死刑囚の冤罪を晴らすべく調査する、とそういう流れです。

 

私の好みから言うと、死刑囚目線で書いて欲しかったというのがまず、ありました。

物語は殺してしまった側・遺族の心境・死刑執行をした刑務官の心情がとてもリアルに書かれていました。

そのあたりはノンフィクションものを読んでいるようでした。

 

この「13階段」は高野和明さんのデビュー作ということで、デビュー作としてはかなり練られていると思います。

安心して読める感じでしたね。

 

とても印象に残った、というわけでもないですが読んでもいい作品だと思います。