「明日の記憶」 荻原浩

 

第18回(2005年) 山本周五郎賞受賞)

 

広告代理店営業部長の佐伯は、齢五十にして若年性アルツハイマーと診断された。仕事では重要な案件を抱え、一人娘は結婚を間近に控えていた。銀婚式をすませた妻との穏やかな思い出さえも、病は残酷に奪い去っていく。けれども彼を取り巻くいくつもの深い愛は、失われゆく記憶を、はるか明日に甦らせるだろう!

 

 

家族がこういう病気になる、という話は多いと思いますが、主人公がというのは珍しい。

 

今まで覚えられていたことが、覚えられなくなり、全く頭から抜け落ちてしまい、山のようなメモをポケットに入れ・・・

 

読みやすく、物語にも主人公にも入り込めますが、読んでいて身の詰まる思いというのはあるかと思いますので、すっきりとした読後感を求めている人には辛いものがあるかもしれません。

私は読んでよかったと思える作品でした。