「スクラップ・アンド・ビルド」
羽田圭介
”「早う死にたか」
毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、
ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。
日々の筋トレ、転職活動。
肉体も生活も再構築中の青年の心は、衰えゆく生の隣で次第に変化して……。
閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説の誕生!”
(第153回芥川賞受賞作)
代表作はやっぱり読んでおかないと!ということで今回読んでみたのは、芥川賞を受賞して有名なこちらの作品。
ちょうど又吉さんの火花と一緒に受賞だったんですね。
面白かったです!
すごく。 すごくすごく。 私はですけど。
また今回もツボにはまってしまいました。
物語の登場人物は無職で就活中の主人公と、同居している「死にたか」とすぐ口にする祖父、そして母親。 主にこの3人。 物語はほぼ自宅での場面です。
途中までは何度となく読みながら吹いてしまいました。 笑えて。
ブラックユーモア? ですよね。 うん、ブラックユーモアなんですけど、凄くセンスがあるようにいつも思います。
『そんな祖父は、苦痛を怖がる人間が楽に三途の川を渡るための唯一の手段ともいえる服薬自殺にも、一度失敗していた』
この一節だけ見てもあまりわからないかもしれませんが^^;
いちいち悪意があってそこがツボでした。
あと4月から1ヶ月だけ元気で、それ以外の時期はまた「死にたか」と口にする祖父(笑) おじいちゃんの方言訛りの喋り方も良い。
主人公の健斗は祖父の望み通りに安らかに死ぬ手助けをしてやる、と祖父の手を奪い思考能力を奪い、身の回りのことを全てしてあげるようになるわけですが、あれ?おじいちゃん思ったより動ける?みたいなシーンもあり、祖父の死ぬ手助けをしているはずが普通に介護してない?みたいになっていき・・・
最後はシリアスなんですけど、詳しくは書きませんが最後のシーンも好きでした^^
しかし好みはわかれそうな作品だと思います。
「黒冷水」にしても、私が好きだったので周りの人に読ませたんですけど、
なんか兄弟喧嘩が読んでて腹たってくると言われてしまい・・・(ーー;) 気分悪い、とか? いや、そこまで真面目に捉えてしまうと辛いものが・・・・。
ブラックジョークの部分もかなりあると思いますし。
頭を柔らかくして読んだらすごく面白いです。
この作品も、介護の問題を書いていますし、真面目なものを求めている人からすれば違う、と思うかもしれませんね。
終わり方も純文学なので、そこまでわかりやすい最後ではないですが、そんなところも好き嫌いがわかれるのかもしれません。 特に芥川賞だから、という話題性だけで読んだ人からするとね。
当時、芥川賞を受賞された時はこういう内容の本だとは全く思っていませんでした。 ああいうのを受賞する小説ってお堅い内容のものばかりだと思ってたので(^^ゞ
いや~、でも私的にすごく楽しく読ませていただきました(^^)
ありがとうございます、って感じです。