野草採りに夢中になるさやか。  さやかとイツキ、仲良く生活する中で・・・・
イツキがバイト先でもらったというブランド物のハンカチが気になってしまうさやか。
そして喧嘩になります。


「植物図鑑」 有川浩


7.ノイチゴ

仕事中に同僚女子から社内メッセが入った。 『河野、今日ヒマ?』

飲み会の誘いだった。 家に帰るのが気まずいのもあり、さやかは参加することにした。

昼休憩、ユキノシタの天ぷらとイタドリの油炒め、そしてきゃらぶきだった。
この弁当をイツキが作った時はまだ喧嘩をする前だった。

「河野さーん、弁当見せて」

あっけらかんと声をかけてきたのは竹沢だ。 彼はホカ弁。
「あー、相変わらず添加物なさげでいいなぁ。 こういう弁当作れる女の子っていいなー」
「見つけたらどうですか、そういう女の子」 「うわーつれない」
実はこういう弁当を作ってるのはあなたと同世代の男性ですよ、と言ったらさぞや落胆するだろうな。

オフィスを後にして家電に掛けるが5回目のコールで留守電に繋がった。 ・・・・・何だ、拍子抜け。
「もしもし、さやかです。 今日、会社の飲み会が入ったので遅くなります」
それだけ伝言を残して切った。 イツキが出なくて残念なようなホッとしたような。


久しぶりの居酒屋は何度も行ったことのある居酒屋だった。
「河野これ久しぶりでしょー」 「ありがとー」 取り分けた皿を受け取る。

・・・・あれ? 微妙な違和感を覚えた。 ・・・・・こんなに味付け濃かったっけ。
そして原因は見つかった。 この店の味が変わったんではなくて―――さやかの味覚が変わったのだ。
急に家が恋しくなった。


一次会は9時すぎになった。 さやかはここで帰宅することにした。
駅までの道をたどり始めると、後ろから追いかけてくる足音がした。  「河野さん!」
声をかけられて振り向くと竹沢だ。  「送ってくよ、俺も二次会出ないから」

お言葉はありがたいが竹沢は既に酔って目が赤く、むしろ竹沢に付き添いが必要な感じだ。
その時、メールの着信音がなった。 差出人は同僚女子の一人だ。

『竹沢がさっき二次会抜けてあんたのこと送ってくるって追いかけたんだけど、男どもの話だと酔うと送り狼になるってさ。 そんで今あんたのこと気に入ってるみたいだから捕まらないように気をつけて』

忠告ということらしいが、捕まった状態で何をどう気をつけろと! せめて5分早く情報をくれ。


「竹沢さん、あたし一人で大丈夫ですから。 家までなんてとんでもないです! 迷惑ですから帰ってください!」
説得を試みたが、「心配だから」の一点張りでしつこくついてくる。
結局さやかの最寄駅で竹沢は一緒に降りてしまった。 これはもうタクシーに突っ込むしかないかも。
さやかは改札を出たところで竹沢の説得を開始した。

「ここまで送ってもらっただけで充分ですから!」 「いやでも、ちゃんと家まで・・・・」
「いい加減にしてください! 家知られていいと思うほど竹沢さんと親しくないですから!」
「そのきっついところがいいんだよな~、河野さん」 「何言ってんですか!?」
「いや、前に弁当のことで怒られたじゃん? あれからずっといいなって思っててさ~」

完全に無防備だったさやかの背中から声がかかった。

「何やってんの、さやか」

びくっと振り向くと、イツキが険しい表情で立っていた。 
もしかして・・・迎えに?  帰る時間なんて留守録に残さなかったのに。


「会社の人があたしのこと送るってここまでついて来ちゃって。 駅も違うのに」
竹沢は第三者の介入に戸惑っているようだ。 「あんた、誰?」
「・・・・河野さんの知り合いです。 彼女は俺が家まで送りますから」
イツキの気配は何故か恐い。 気圧されたような竹沢は 「じゃあ河野さん・・・・また明日」
「はい、また明日。 気をつけて」
やっと振り切れた。 その思いが満面の笑みで見送らせる。 それからが気まずさの始まりだった。

「誰、あれ」 「言ったでしょ、会社の人。 ちょっと酒癖悪いの」 「ふーん」
イツキは気のない相槌でさっさと歩き出した。
「随分愛想よく見送ってたね」 トゲを含んだ言い方にカチンときた。
「やっと振り切れたんだから嬉しくもなるでしょ。 明日も顔合わすんだから邪険にできないよ」
「庇うんだ」
「そんなことイツキに言われる筋合いない。 自分だってバイト先の子にハンカチもらってるくせに」
「さやかにだって文句言う筋合いないだろ」 

酒を飲んでたせいか、ぷつんと何かが切れた。


「あたしはあるよ。 イツキのこと好きだもん」


言うはずでなかったことが唇から滑りでた。

「だからあのハンカチ持ってるの見てすっごい動揺したよ。 いくら貧乏話で盛り上がっても男が男にブランドのハンカチなんか贈らないし、絶対女だってわかっちゃうの! 悲しいことに! 昨日だって行かずにはいられなかったの。 気になって仕方なかったの。 文句言われる筋合いはないかもしれないけど嫉妬する筋合いならあるの、あたしは」

ああごめんね、とさやかは笑った。 自分を笑った。

「あたし今酔っ払ってるから明日になったら忘れていいよ。 でも分かんないの、イツキのほうはやっぱり言う筋合いないんじゃない? だって単なる同居人でしょ? だからあたしと暮らしてても平然としてられるんでしょ?」


「あのなあ!」


こらえたように怒鳴ったイツキが振り向く。 
とっさに竦んださやかを見て、 傷ついたように険しかった顔が歪んだ。

「・・・・・引き金引いといて忘れろとか都合のいいこと言うなよ」
引き金? 何が? どれが?

「俺がどれだけ努力して平然としてると思ってんの? どれだけ努力してさやかでそういうこと考えないようにしてると思ってんの?」
イツキはそう言ってから俯いた。
「カッコつけた、ごめん。 ホントはそういうことめちゃくちゃ考えた、さやかに気がつかれないように必死で隠してた」


それはあたしだからなの、あたしが女だからなの。
あんまり失礼なこと言うな、とイツキに睨まれた。

「好きになった子に手ぇ出さない条件で同居って男の側には生殺しだって言ってんの」
「・・・・手、出してよ。 女だって好きな男にそんなおキレイにお行儀よくされてたら傷つくよ」
「引き金二回目」  イツキはさやかの手首を掴んだ。

「もう止まんないぞ」 「え、でも・・・・バイトは」
「留守電聞いてすぐ休み入れた。 飲み会だったら遅くなるだろ。 昨日あんだけ気まずくなってゆっくり話せないままバイト行くなんて嫌だった」
さやかを引っ張って歩き出したその速さはいつもより少し強引だった。


「ま、待って」 「待たない」


部屋に帰るなりイツキは寝室に向かい、さやかをベッドに押し倒した。
強引に唇を重ねられて―――やばい。 気持ちがいい。
こういうことするのはどれくらいぶりだろう。

ブラウスのボタンを外していたイツキの手がふと止まった。 そして起き上がる。
「・・・・・買うの忘れた」 何を、というのは暗黙の了解だ。
「・・・・一応、残ってるのがあるよ?」 「前の男の使いさしなんか嫌だ」
モノはモノじゃないか―――とはいかないらしい。

イツキは部屋を出ていき、さやかはその間に特急で風呂場に駆け込んだ。
シャワーで飲み会でついた煙草の匂いを洗い流し、歯磨きをした。 ギリギリセーフ。
ただ着替える間はなく、辛うじて下着をつけてバスタオルを巻いただけの状態だ。
戻ってきたイツキにどうせ脱がされるから、と着替えは却下されてベッドに連れ込まれる。

「俺も脱ぐからそれ開けといて」
コンビニのレジ袋には―――何て男らしい買い物! それだけしか入っていない。


再開されたキスに没頭した。 どうしよう。 何だかすごく飢えてたみたいだ。
イツキの扱いは前の男よりずっと優しくて、ずっと巧かった。
そして初めて知った。 気持ちがいいととても疲れる。
その夜は一回では終わらなくて、どちらともなく始まった二回目の途中でさやかの記憶は曖昧になった。


「さやか、そろそろ起きないと遅刻するよ」 「ううー休みたい」 「休む?」 「駄目、行かなきゃ」
昨日追い返した竹沢の動向も気になる。 ここで休めば社内で噂が走ってしまうかもしれない。

「朝ごはんできてるよ。 弁当も」   ―――完璧超人か、あんたは。
夕べはかなり遅かったはずなのにもう爽やかに起き出して朝食どころか、弁当まで作ってあるあたりがただ者ではない。

「昨日ね、久しぶりの飲み会でよく知ってた店だったんだけど、前は美味しいと思ってたのにイマイチで。 なんでかなーっって思ってたらね・・・・・イツキの味付けに舌が慣れてたんだよね。 イツキのごはんのほうが美味しいなって。 会費分でイツキなら何回美味しいごはんが作れるだろうって考えちゃう」
「・・・・・作り甲斐あります」 イツキが照れたように笑った。

出かけるとき見送ってくれるのはいつものことだが、今日はいつもと違うことがあった。
「さやか」  呼ばれて振り向くと、軽くキスをされた。  「行ってらっしゃい」
頷いて答えるのがやっとだった。 嬉しさがこみあげて、外に出ると顔がにやけた。

出社すると案の定、竹沢は休みだった。 二日酔いだろう。
翌日、出社すると彼は「ごめん!」と手を合わせた。 竹沢のことは許してやった。



「そろそろノイチゴ摘みに行ってみる?」 梅雨入り宣言しそうな週末、イツキが言った。
「もう生ってる!?」 「最近いい天気が続いたしね。 もうかなり熟してるんじゃないかな」

一度来たので見覚えのあるルートだ。 イツキは自転車を空き地に乗り入れてから駐めた。
「わぁ!」  赤い宝石がそこらじゅうにぶちまけたようだった。
「豊作だなあ」 イツキも感心したように周囲を眺める。

「ね、これ食べていい?」 「いいけど必ず裏側確認すること。 実の中に虫入ってることあるから」
「いっ・・・!」 「地虫っぽいのが多いかな」 「へ・・・・へえー・・・・」 極力避けたい。
トートバッグから軍手を取り出したらイツキが吹き出した。
「そういうのは見てわかるんだから避ければいいだけだろ」 微妙にきまずく軍手をバッグに戻した。

さやかは身近な実に手を伸ばして恐る恐るその鮮やかな真紅の、ノイチゴを口に入れる。
「わ、甘・・・・」  栽培種よりもっと甘い。 味も微妙に違う。
ジッパーバッグを2枚渡され、別々に収穫することになった。 イツキは写真も撮るのだろう。
いくつかめで虫にも遭遇した。 むちっと肥えた虫が一匹。 悲鳴をぐっとこらえる。


「そろそろ弁当食わない?」 「え、もうそんな時間?」
お互い、ジッパーバッグには山もりのノイチゴが詰まっていた。 「すごいな、大量」

「一度や二度はさやかの悲鳴が聞こえるかと思ってたんだけど」
「別に虫が飛びかかってくるわけじゃないしさ。 イツキが言うとおりに捨てたよ」
「へえ。 えらいえらい」 言いつつ、イツキがさやかの頭を撫でた。


家に帰るとプラスチックのザルにノイチゴを開け、さっと水であらい。 大鉢にうつす。
粗く潰すとそこに大量の砂糖がぶちこまれた。 そしてレモン汁をかけ、木べらで混ぜる。
ラップなしで15分加熱。 途中かき混ぜる。 レンジから出したら冷めるまでほうっておく。

「ちゃんとジャムになってるー!」 「当たり前だろ、ジャム作ってたんだから」
市販のジャムとは違うあっさりとした甘さだった。

しばらく楽しめそうだね、と話しかけるとイツキの顔が近づいてきた。
これは何のキスだ!? 硬直しているとイツキの唇はさやかの唇の端に下りた。
舌が強くそこに押しつけられて舐められる。  さやかは首をすくめた―――普通のキスよりもっ・・・
「ジャムついてた」 さやかは真っ赤になって安全距離まで飛び離れた。

月曜日、昼休みに弁当を開けると、ノイチゴのジャムサンドと山菜のストックを使ったサンドイッチ。

ノイチゴの甘酸っぱさは、まるで恋しているような味だと思った。


8.イヌビユ/スベリヒユ そしてアップルミント

梅雨真っ只中の頃にはもう、下着を一緒に洗われても気にならなくなっていた。

中身の入ってない布にナニか思う性癖はないしね、とイツキは言う。
「中身って!」 思わず突っ込むと、腕を掴んで引き寄せられた。 
膝の間に座らされて腕で閉じ込められる。
「中身」 シャツの裾からするりと手が入ってきて悪さをした。 「入っててこそでしょ」
首筋まで熱くなる。 

イツキは軽くうなじを噛んだ。 ちりっとした痛みが一瞬。
髪で隠れて見えないところにしているのは一応気を遣っているとしたものか。
「すぐそういうことする!」 「所有印は定期的につけとかないと」
「いい加減にしないとやり返すよ」 「どうぞ?」
その時に限ってブランド物のハンカチの子のことを思い出し、襟で隠れない場所に所有印をつけた。

「・・・・重くないの、こういうの」 「独占されるのけっこう好きだよ。 さやかは?」
「・・・・・相手による」  背中からぎゅっと抱きしめられた。


会社の帰り、駅ビルの雑貨屋に寄った。
ワゴンセールでハンカチの特売をやっていたからだ。 男物のを3枚、色違いの女物のを3枚選んだ。
どれも吸水性がよくて雑に使えるタオルハンカチだ。

家に帰ると食事ができていた。 イツキが見慣れないスウェットを着ている。

「買ったの?」 「うん、薄手のやつが欲しかったから・・・特売だったし」
「あ、ねえ食べる前だけどいい?」 ラッピングされたハンカチを取り出す。

「ハンカチのワゴンセールしてて、イツキだったらタオル地のほうが使いでがあるんじゃないかなって・・・・あたしも色違いでかったの、お揃いで。 だから・・・・・」
少し言いよどんで、それから思い切って続けた。


「バイト先の女の子からもらったハンカチ、使わないでほしいんだけど」


「ありがとう。 使いやすそうだし色合いも俺の好み」
もらったハンカチ、どうしたらいい? 訊かれてさやかは答えに詰まった。
捨ててと言ったら感じが悪いだろうか。 でも家には置いておきたくない。 当人に返すのも失礼だ。
「俺からも提案があるんだけどさ」 不意にイツキのほうから提案があった。


「今まで借りてた元彼の服、全部捨てていい?」 


イツキらしからぬ「もったいない」発言。
目をぱちくりさせていると、イツキは少し拗ねたような口調で言った。
「前の男の借り物着てんのやだ」
思わず吹き出す―――思いもよらぬところでかわいい。 「いいよ、どうせ捨てるつもりだったし」
「じゃあそのときハンカチも資源ゴミに出させてもらう、申し訳ないけど」

そしてテーブルに手を合わせ、ごく平穏に夕餉が始まった。
この頃はなんの疑いもなく、ずっとこんなふうに続くと思っていた食卓だった。



梅雨の間はさすがに狩りの機会が減り、代わりにお約束のように隙あらば恋人らしい営みの各種。
「いい加減お散歩したいねー。 狩りしたーい」
イツキが布団の中でさやかをぎゅっと抱き締めた。  「じゃあ家の周りでちっちゃく散歩行こうか」

小雨の中傘を差していつものトートで家を出た。
「これこれ」とイツキは街路樹の根元にしゃがみこんだ。
青々とした草は卵形の歯をたくさんつけながら茎を伸ばし、てっぺんに小さな穂を生やしている。
「これ、何て言うの?」 「イヌビユ。 どっこにでも生えてるよ、これは」

狩りを始めると、摘んだ葉を持っていた左手の甲がむずむずした。 手を返すとシャクトリムシが。
以前なら盛大な悲鳴をあげていたところだが、強く息を吹いて吹き飛ばす。
「成長したなあ」 一部始終を見ていたらしいイツキに褒められた。

「あ、これもこれも」 イツキがやはり街路樹の根元にしゃがみこむ。
イヌビユとは違い、地べたに貼りつくように生えている。 つるんとした印象。
丸く赤っぽい茎にわざわざ生えた小さな葉は多肉質だ。
「これはスベリヒユ」


帰り道、小さな空き地がある。 草むしりでもしたのか抜かれた草が一山積まれていた。
「あ、いいもん見っけ!」 「それ何なの?」

「アップルミント―――マルバハッカかな」 「えー!ミント!? 無造作に捨ててあるのに!?」

「意外とあちこちに花壇から逃げ出して雑草に混じったりするんだよね」
「うちの庭に植えたら根付くかなぁ」 「うん、しっかり植えてやれば根付くと思うよ」

トータル一時間もかからないような短い散歩だった。
帰ると庭にアップルミントの苗を植える。 「でもこれ何に使えるの?」
イツキはいくつか残しておいたアップルミントをよく洗い、ポットに入れお湯を注いだ。
恐る恐る一口すすると、立派なミントティーだ。

「・・・・ちょっとおやつが欲しくなるね」 「んー、それじゃあ」
イツキは薄くきったバゲットにノイチゴジャムを持ってきた。 贅沢なお茶の時間となった。


夕食の時間。
イヌビユの柳川風は意外なまでに美味しい。 風味はゴボウに似ている。
スベリヒユのからし酢味噌和えもあの姿からは想像できないほどさっぱりしてて美味しい。
地味な草なのに味は今まで味わった中でも引けを取らない。


そのうち、ようやく梅雨明け宣言が出た。

「おおい、河野くん」
部長に声をかけられた。 「何でしょう」 「君、生け花には興味があるかね?」 「ええと・・・」
野花や山野草には興味が出たが、生け花は未知の世界だ。

「このチケット一枚もらってくれんかね。 一枚と言わず二枚でも三枚でも」
『登来柳明:現代生け花の世界』 とチケットに書かれていた。
「トライ・リュウメイと読むそうだ。 雅号だろうね。 世界的に有名な大家だそうだよ」
「でしょうね」
取引先から招待券がたくさん回ってきたそうだ。 日取りは週末の二日間限定だ。
無料の招待券なのだし、会社の人と鉢合わせるかもしれないけど―――イツキだったらいいや。
そう思ってチケットを2枚受け取った。


夕食の後、チケットとその話を持ち出した。 「イツキ、そういうの興味ない? もしよかったら・・・」
チケットを受け取ったイツキが少し難しい顔をした。

「ごめん。 こういうの、あんまい興味ない」  はっきり拒否されて少し傷ついた。

結局そのチケットはイツキのバイト先の奥さんにあげることになった。
奥さんはとても喜んでその生け花展に行ってくれた、と後から報告された。


・・・・それにしても。 イツキってどういうもの喜んでくれるのかな、とため息混じりに考え込んだ。
今まで付き合ったことがないタイプなので、経験則が役に立たない。

手強いんだよねえ、さやかはまたため息をついた。


続く・・・