ヒョンとぼく・15
会った瞬間から明らかに態度の悪い僕に対して、
彼女は嫌な顔ひとつせず、明るく振る舞って接している。
そもそも僕は、彼女が会いに来た理由からして歓迎する気分にはなれなかったし、
失礼な態度をとっているという自覚すらなかった。
それどころか、マイペースな彼女の言動や行動、それに、
僕の事に関する勝手な計画に対して、腹立たしさや、ひどい嫌悪感を感じていた。
でも、よくよく考えれば、彼女が一貫して言っているように、
全ては僕の為なんだという事も、少しずつ見えてきた。
ここに用意された食事も、自分のライバル的存在のユノをわざわざ呼びつけた事も、
それはただ単に、僕を喜ばせたいから。
彼女にとっては、それが最優先なんだという事。
悪気なんて恐らく無いんだろう。
かといって、僕の心が彼女に向かうブレは今のところ全く無いけど、
この悪態は反省して改めなくちゃいけないと思った。
隣に居る彼女のことよりも、正面に座っているユノのことばかり気にしている僕は、
やっぱり失礼だったと思う。
『どの料理もとても美味しかったです。ごちそうさま。ありがとうございます。』
僕は当たり前のことを言っただけなのに、彼女は明らかに頬をピンク色に染めて、
ホッとしたような笑顔をみせた。
『、、、良かった、チャンミンがそう言ってくれて。私は、その一言が一番嬉しいの。』
不覚にも?ちょっとドキッとしてしまった(笑)
瞬間、ユノの視線を感じて振り返ると、ユノは口元に微かな笑みを浮かべていた。
僕を見守る様な視線で。
なんとなく、恥ずかしいような、後ろめたいような、、、
変な気分だ。
『さて、食事も済んだし、この後は私の部屋でくつろぎながら話しましょうか。あ、私はちょっと着替えたいし、先に部屋に行ってるわ。あなたたちはデザートを食べてから来て。』
『え、、、でも、あなたの部屋がどこなのか、僕たち、、、』
『あぁ、大丈夫。ワンフロアごと借りてるから。ここの二階下でエレベーターを降りてくれれば良いわ。じゃ、、、、あ、ユンホ。私が居ない間に、チャンミンに変なことしちゃダメよ(笑)』
『ちょっ!なにを!』
『冗談よ。(笑)』
『無駄な心配だな。変な事なんて、する訳ない。』
『ちょっ、ユノヒョン!なに真面目に答えてるんですか。、、、ったく。』
『あはは♪じゃぁ、とにかく私は先に行ってるわね。じゃ、後で♪』
そう言って、彼女は部屋を後にした。
ユノと二人きりなんていつもの事なのに、、、
ちょっと気まずい感じがするのは、僕だけかな。
なんだか話しかけにくかった。
『、、、チャンミナ。疲れてるかと思ったけど、そうでもなさそうだな。』
先に話しかけてくれたのはユノ。
『あ、、、うん。、、、でも正直、かなりペース乱されっぱなしだよ。』
『でもお前、彼女の良さに気付いてる。』
僕はなぜか、返事が出来なかった。
『(笑)、、、それで良いんだ。チャンミナ。』
『あの、、ね、ユンホ、、、。あの、、、こんなとこで、こんな時に、、、すごく変かもしれないけど、、、』
『ん?』
『あの、、、今、キス、、、して欲しい、、、』
『ハァ、、、?お前な、、、』
『そんなことしてる場合じゃないってわかってる。でも、、、して欲しくて、、、ううん、僕がしたいんだ。』
つづく
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