昨日の「歴史探偵」は、幕末のダンスブーム「ええじゃないか」でした。


私はずっと「ええじゃないか」は末法思想のようなもので、現実に救いを見いだせなくなった民衆が自棄になって踊り狂っていたのだと思っていました。

ところが、この番組を観て、大河ドラマ「べらぼう」に登場した「天明の打こわし」に似ていると感じました。


1867年7月から12月にかけて幕末最後の半年間に発生したものであり、踊りが歴史を動かすことになりました。


まず、どういう踊りであったのかが解き明かされていました。

絵馬に描かれていたポーズを3DCGにあてはめ、アニメーションでつなげていました。踊りを完成させるために、舞踊家の意見を聞いていました。飛ぶ前には屈むのは、バレエのプリエと同じで当たり前の必要な動作ですが、踊らない人達には思いつかないことだったようです。

男装や女装をして、ふだんと違う装いをすることで解放感を味わっていたそうです。

ハロウィンの扮装との類似点があげられていましたが、数年前に渋谷であった騒動と本当によく似ていると感じました。


江戸から広島まで広範囲にわたって流行し、発祥は愛知県豊橋市でした。

空から御札が降ってきたことにより祭が開催され、踊り始めたそうです。


では、仕掛人は誰なのか?

鳥を使ったのではないかという説に基づいての実験は成功していましたが、そんなに数多くの鳥が飛んだら、違う大騒動になるので、これは却下されていました。

すべての場所での発見時間を分析し、働きづめの貧しい庶民が、働くことを放棄するために置いたものだったのではないかと考察されていました。御札が降った家が、ご馳走をふるまったので、豪商などの家に次々と置かれ、祭は長期間続いたそうです。

「ええじゃないか」は、弾圧をかわすためのカモフラージュであり、世直し・世均しの民衆運動だったようです。

物価高、天災、コレラと、何だか現代と重なる状況に怖さを感じます。


3ヶ月後、ついに京都に至った「ええじゃないか」は、幕府へのあてつけに変貌します。

そして、倒幕の動きが騒ぎに紛れて活動しやすくなり、その3ヶ月後「王政復古の大号令」が発せられました。そうすると、ぴたりと踊られなくなったそうです。


そもそもが、倒幕のために意図的に起こされたものであったのではないかという説があるのですが、番組では否定していました。

私は、少なくとも京都においては、各地で起こった「ええじゃないか」を知った倒幕派が、煽動して広げ、利用したのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?