『もうひとつのショパンコンクール 日本人ピアノ調律師たちの闘い』を観ました。 


2015年の第17回ショパン国際ピアノコンクールで公式ピアノとして採用された「スタインウェイ&サンズ」「カワイ」「ヤマハ」「ファツィオリ」の4つのメーカーの調律師が奮闘する様子を描いた2時間のドキュメントです。

何度も再放送されている人気ドキュメントだそうですが、観るのは初めてでした。大変面白かったです。


番組でのピアノ紹介(2015年当時)によると

スタインウェイは、創業160年でピアノの王様と呼ばれ、力強く華やかな音色が特徴。過去の優勝者たちから選ばれていて、根強い人気がある。

ヤマハは、ピアノの売り上げ金額世界一で、幼い頃から慣れ親しんでいるコンテスタントが多い。弾きやすさと豊かな響きが特徴。

カワイは、まろやかな重低音が特徴で、ヨーロッパで根強い人気がある。

ファツィオリは、創業34年のイタリアの新興メーカー。明るくクリアな音色が特徴。

とのことでした。


「ファツィオリ」の調律師である越智晃さんは、100万人に1人の耳を持つ天才と称されていました。

越智さんは、やわらかく温かな色気のある艶っぽい音がショパンにふさわしいと考えていました。

コンテスタントたちに、自分のピアノがどう評価されるか見守っていましたが、温かみのある音を受け入れてもらうことができません。

他のメーカーでは、響きの良さを重視した音づくりをしていて、その豊かな音量の方がピアニストたちの受けが良かったのです。

このままでは1人のコンテスタントにも選んでもらえないと、越智さんは戦略変更して、チャイコフスキーで使ったアクション(グランドピアノの心臓部)に入れ替えることにしました。使える時間は、夜中の1時間45分のみでしたが、太くはっきり響く音に変わり、ついに一人のピアニストに選んでもらうことができました。

中国のティアン・ルーさんでしたが、二次に進出することができず、ファツィオリはここで姿を消しました。


ここで、ドキュメントの先の未来を見てみますと、2021年第18回コンクールでは、ブルース・リゥさんが、ファツィオリを弾いて優勝しています。

そして、まだ記憶に新しい2025年第19回コンクールにおいても、ファツィオリを選んだエリック・ルーさんが優勝しました。

調律師がどなただったのかは、情報を見つけることができませんでした。


長くなりましたので、②に続きます。