金曜ロードショーで「君たちはどう生きるか」を観ました。

ジブリ作品はいつも映画館で観ていたので、初見がTVなのは私には珍しいです。


2023年公開時には、ポスター1枚のみで、予告編やCMや公式サイトがなく、試写会を行わず、場面写真を公開せず、パンフレットは「後日発売予定」という事前宣伝を行わなかったことが、大きな話題となりました。

タイトルとなった1937年出版の吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』が当時書店で平積みになっていましたが、映画のストーリーとは全く違っていて、主人公眞人に母が遺した本として登場しているのみのようです。


このたび映画を観るにあたっての事前情報は上記くらいで、哲学的で抽象的でわかりにくいのではないかと予想していました。

ところが、観終わって、むしろ直接的なメッセージ性のある作品だと感じました。


ジブリ作品は、主人公の成長や環境問題や戦争がテーマとなっているものが多いかと思います。

「平成狸合戦ぽんぽこ」のようにはっきり自然破壊への警告を鳴らしているものだけでなく、どの作品の中にもメッセージが込められているのを感じます。

それらは壮大な物語の面白さの奥に隠れていたけれど、「君たちはどう生きるか」においては伝えたいメッセージを前面に出しているように感じました。

この作品がわかりにくいのは、異世界を舞台としていることではなく、観る人によって、受け取るメッセージが異なるからではないでしょうか。



疑問に思ったのは、時代背景が戦時中であるのに、あえて示唆する語彙を避けていることでした。

眞人の母が亡くなったのは、空襲ではないかと思うのですが、火事としか言っていませんでした。

眞人の父の工場で造っているのは、コクピットだけど、並べているシーンを見せているだけ。軍需産業で儲けていることは、端々からわかります。

曖昧にしたのはなぜなのでしょう。



声優陣にも驚きました。


眞人(主人公):山時聡真
勝一(眞人の父):木村拓哉
久子・夏子:木村佳乃
サギ男:菅田将暉
ヒミ:あいみょん
キリコ:柴咲コウ
老いたペリカン:小林薫
大伯父:火野正平
インコ大王:國村隼
七人の婆々:大竹しのぶ、竹下景子、風吹ジュン、阿川佐和子


主人公二人とか、主要人物に俳優をキャスティングすることはよくあるけれど、ここまで本職の声優ではなく、有名な俳優ばかりなのは珍しく思いました。