「おさらばえ」

瀬川の白無垢姿の最後の花魁道中が、豪華で見応えがありました。

外八文字で描く正確な軌跡が美しく、見惚れてしまいました。

凛とした表情から、口角を微かに上げて浮かべる笑みへの変化で、感情を表現しているのも見事でした。

吉原勢揃いで見送っているのも、胸に迫るものがありました。


瀬川最後の花魁道中に合わせて蔦重が出版した『青楼美人合姿鏡』は、北尾重政と勝川春章の競作による多色刷りの豪華な錦絵本でした。
手紙を書いたり、芸事の練習をしたり「女郎が女郎をしていない姿」が描かれています。


瀬川へ贈る本を託そうとする蔦重に、

「忙しいから自分で渡しとくれよ」

「えっ!いいんすか?」

「えっ?何でだめなの?」

と、松葉屋の親父様が見せた粋な情にほろりとしました。


「あんたがなんかくれる時はいっつも本だなって」

瀬川が描かれている絵は本を読んでいる姿で、ここから逆算されたのかと、脚本の妙に感心しました。


瀬川を大門を出たタイミングで、『青楼美人合姿鏡』が派手に売り出されました。

なんだか昔のWindowsの発売カウントダウンを思い出しました。

鶴屋が、この本は売れないとほくそ笑んだ理由は?