道長と実資の政治論議が見応えがありました。
「左大臣殿の思う政とは何でありますか?」
という実資の問いかけに、道長は
「民が幸せに暮らせる世を作ることだ」
と答えますが、実資に
「民の幸せとは?」「そもそも左大臣殿に、民の顔なぞ見えておられるのか」
と鋭い指摘を受けます。
「幸せなどという曖昧なものを追い求めることが、我々の仕事ではございませぬ」
「朝廷の仕事は、何か起きたとき、全うな判断ができるよう構えることでございます」
道長の理想論に対して、実資は現実的です。
「志を持つことで、私は私を支えてきたのだ」
「志を持つものが力を持つと、志そのものが変わっていく。それが世の習いでございます」
この実資の深い言葉に
「意味がわからぬ」
と返す道長。
妍子中宮の産んだ子が皇女だったことに失望したり、頼通の妻の隆姫に「子を産んで欲しい」と言ったり、父の兼家や兄の道隆と同じようになっています。
思うがままの政をするために、結局同じ道を歩んでしまっているようです。
「行成は俺のそばにいろ」
道長は行成を心から信頼して側にいて欲しいのでしょうが、いつも気の毒な役回り行成には伝わっていないようでしたね。