「光る君へ」に和泉式部が登場しました!
数多くの歌を詠んでいますが、
あらざらむこの世のほかの思ひ出にいまひとたびの逢ふこともがな
黒髪の乱れも知らずうち臥せばまづかきやりし人ぞ恋しき
物おもへば沢の蛍も我が身よりあくがれいづる魂かとぞみる
冥きより冥き道にぞ入りぬべきはるかに照らせ山の端の月
この4首が、まず思い浮かびます。
いずれの歌も感情が真っ直ぐに伝わって来ます。
平安王朝を代表する歌人であるのに、歌いぶりに万葉集の歌人のような率直さを感じます。
恋ひ恋ひて逢へる時だに愛(うつく)しき言尽くしてよ長くと思はば
大伴坂上郎女の歌ですが、ちょっと和泉式部風味がありませんか?
「花」と言えば、平安時代は「桜」、万葉集の頃は「梅」だったそうです。
和泉式部は、「梅」を好んでいたと言われています。
梅の香を君によそへてみるからに 花のをり知る身ともなるかな
梅が香におどろかれつつ春の夜の 闇こそ人はあくがらしけれ
梅を香りから表現していることに、感覚の鋭さを感じます。
世の中に恋てふ色はなけれどもふかく身にしむものにぞありける
『万葉集』にも
展転(こひまろ)び恋ひは死ぬともいちしろく 色には出でじ朝顔の花
とあるように、「恋が色に出る」ことから、「恋という色」と発想を飛ばしたのでしょうか。和泉式部は独特の感性は、「言の葉」の選び方に現れていて、そこに惹かれます。