寅子にとって、辛く厳しい回でした。
直明の言う「ささいな「ん?」みたいなズレ」は、すごくよくわかりました。
ささいなこととして受け流していたことが、少しずつ積み重なって行ったのですね。
優未のテストの話は、84点を誉めてあげなかったことへの問題だとばかり思っていたので、まさか点数を偽装していたことに気付かなかったという問題があったとは思ってもみませんでした。
寅子への女子学生達の陰口に対して、梅子が慰めたり、庇ったりすることなく、
「きっと、これから改めれば問題ないわ」
と言ったことが、一番手厳しいと感じました。
梅子もまた同じように感じていたということなので、寅子にとっては、大きな衝撃だったと思います。
離婚調停の女性の話を今回絡めたことには、疑問を感じました。
主人公のモデルである三淵嘉子氏が、東京地裁判事補時代に審理を担当していた民事事件の当事者から廊下で切り付けられるという出来事があったのは史実だそうです。
「女性判事による審理の不手際から刃傷沙汰が起きたのだと世間から無根拠に言われるのではないかと思うと情けない」と言われていたそうです。
詳細がわからないにも関わらず、今回の展開でこのエピソードを入れてしまうと、三淵氏に不手際があったという認識を招きかねないかと思います。
ドラマにおいては、女性なのに味方をしてくれないと逆恨みされています。
寅子は、どちらの味方でもないと言っていました。
たった一度の過ちとか寂しさを弁護するのは、弁護士の仕事かと思うので、調停の場で、裁判官の寅子が中立の立場を取るのが間違っているとは思えませんでした。
このエピソードは今回とは別の回で、裁判官の役割としての観点から問題提起した方が良かったのではないかと思いました。