忘れえぬ人がいる朧月夜を丸ごと受け入れたのは、朱雀帝でしたね!


朧月夜が

照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜に似るものぞなき

と口ずさみながら、登場する場面がとても好きです。


『あさきゆめみし』の朧月夜は、原文以上に魅力的です。


わたくしがあなたを選んで

あなたを愛したのよ

だから 主上にあなたとのことを責められても

御所じゅうの女たちにうしろ指をさされても

もう決して泣かないわ

きっとときめいて

みんなのうらやみのまとになるわ・・・!


きれいだよ あなたは

ほんとうに輝くようだ


ネットで拾ったため、どの場面の会話なのか不明なのですが、源氏が朧月夜を少し外側から眺めているのを感じます。

朧月夜は、源氏にとって丸ごと自分のものにできない女性だったからこそ、執着がつのり、破滅への道に進んでしまったのかもしれませんね。



対象的なのが、花散里でしょうか。

控えめで家庭的で献身的な花散里は、源氏の癒しであり、忘れられていても不満も言いません。

源氏が造営した六条院の夏の町に住み、玉鬘や夕霧の世話もしています。


嫉妬もせず、他の女性と張り合うこともなかった花散里の人生を、最も幸せとする声を時々見かけます。

何が幸せとするかは、人の数だけ違うとは思いますが、紫式部は読者のさまざまな声を楽しんでいたのではないかと思います。

「光る君へ」では、そんな様子も見られたら嬉しいです。