「光る君へ」で、倫子が一条天皇と元子女御の仲を取り持つため、管弦の会を開きました。


「漢詩の会」「和歌の会」に続き、このたび「管弦の会」となると、思い当たるのは、『大鏡』の「三舟の才」です。


道長が大井川で舟遊びを開催した際に、「漢詩」「和歌」「管弦」の舟を用意して、その分野に優れた貴族達がそれぞれの舟に乗って楽しんだそうです。


藤原公任は、すべてに秀でていたため、道長がどの舟に乗るか尋ねたところ、「和歌」の舟を選び

小倉山嵐の風の寒ければ紅葉の錦着ぬ人ぞなき

と詠んだそうです。

公任は、漢詩の舟に乗った方がより名声が上がっただろうと残念がったそうです。



私はこのエピソードを、同じく『大鏡』の道長の「面を踏む」エピソードとごちゃ混ぜにして記憶してしまっていました。


藤原兼家が公任の才を羨ましく思い、自分の子供の道隆、道兼、道長では、影さえ踏めないだろうと残念がったそうです。

兄二人は何も言えませんでしたが、道長は「影をや踏まで、面をや踏まぬ」と言ったそうです。

実際に後年そうなりました、というのがオチみたいです。


「三舟の才」の時の話だと思い込んでいたので、主催が道長(⬅️ここ、大事)だと知って、やっと記憶違いに気付き、この二つのエピソードが分離しました。


そもそも『大鏡』が、創作や伝達間違いで成り立っているらしいので、面白いけど、「光る君へ」と同じく物語だと承知して楽しむ必要があります。



ドラマの「管弦の会」では、一条天皇が笛を吹き、元子女御が琴を奏でます。

ところが、定子中宮との合奏を思い出した一条天皇は途中で笛を吹くのをやめてしまいます。

この笛エピソードは、彰子中宮にもつながるので、おそらくドラマにも登場するかと思います。