今回の大河は、ネタバレを嘆く声を時々見かけます。
前年までは、例えば「本能寺の変」や「関ヶ原の戦い」に触れても、ネタバレと言われることはなかったと思います。
「光る君へ」が大河を純粋にドラマとして楽しむ新しい視聴者を獲得したということは、とても喜ばしいことです。
ただ、史実をネタバレと呼ぶのは少し疑問を感じます。
今回の「光る君へ」は、第1回の道兼のまひろの母親殺害などあり得ない話もあって、オリジナル要素がかなり強いと感じています。
メインストーリーであるまひろと道長の恋愛については、『紫式部日記』にほのめかしはあるものの、解釈はいろいろです。
『大鏡』や『栄花物語』について書かれていることを、そのまま史実として捉えることはできません。
藤原実資の『小右記』については、主観はあるものの歴史資料として、かなり信頼性が高いと思っています。
もちろん後年の写し間違いや改竄の可能性を排除はできません。
他の資料と併せて研究されて初めて史実として認識されます。
今回の時代考証を担当されている倉本一宏氏が、
「"ドラマはドラマ、史実は史実"と分けてお楽しみいただきたい」
と言われていました。
私も、大河にはまるきっかけになった「草燃える」はドラマとして、楽しみました。
「光る君へ」によって、歴史や古典を好きになる人がたくさん増えると嬉しいです。